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あやかしとむすめ

殺りん話を、とりとめもなく・・・  こちらは『犬夜叉』に登場する 殺生丸とりんを扱う非公式FANサイトです。

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寄り添う



寄り添う、二人。

種族が違っても、生きる長さが違っても、どんな違いがあっても、
二人で寄り添う暖かさは、変わらない。

15909368.jpg























月の美しい夜。

二人の住まいの縁側には、ささやかな月見の膳が用意されている。
邪見あたりが気をきかせたのだろう。

酔うほどの酒量でもない。
けれど、りんにはそれで充分だ。

ほんのりと桃色に染まった頬を、そっと愛しい妖の肩に寄せる。



「 ・・・・ねえ、殺生丸さま、知ってた?」

聞き慣れたりんの言い回しに、妖はわずかに苦笑して、答えた。
声色は、優しい。

「 ・・・・知っている 」

妖の答えに、りんは肩に頬を寄せたまま、わずかに膨れる。

「 もう・・・・! どうして言う前に分かるの? 」

いいながら、りんもすぐに笑ってしまった。
分からぬはずがない。 何度、この言葉を伝えてきただろう。

「 お前の言いそうなことくらい、分かる 」

「 ・・・・・・・・ふふ」

妖の言葉の温かさに、りんは思わず微笑んでしまう。

「 ・・・違ったか?」

「 ・・・たぶん、あってると思う 」

「 ・・・・・・そうか」

くすくす笑う声が、月夜の下の広縁に満ちる。

・・・・・何度も何度も、りんが繰り返し繰り返し言うから、妖はその先の言葉をもう覚えてしまった。
わざわざ、口に出さずともわかってしまうほどに。




「 ・・・・・りん、殺生丸さまとこうやってるのが、いちばん、しあわせなの 」




妖はわずかに目を細めて、微笑んだ。
月の女神が見とれそうなほどの、美しい白皙で、いつもの言葉を口にする。



「 ・・・・知っている 」




ただ寄り添うだけで、これほどまでに。



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