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		<title>あやかしとむすめ</title>
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		<description>殺りん話を、とりとめもなく・・・　                   こちらは『犬夜叉』に登場する 殺生丸とりんを扱う非公式ＦＡＮサイトです。</description>
		<dc:language>ja</dc:language>
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		<title>目次</title>
		<description>
	
	
	小説目次
	
	原作編
	
	原作終了後
	
	新婚編#%E:183%#
	
	番外編#%E:183%#
	
	動画リンク
	&amp;amp;nbsp;
...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<div style="text-align: center">
	<font style="font-family: ｍｓ ｐゴシック"><strong><font style="font-size: medium"><a href="http://file.mioyanoko.ichi-matsu.net/lXLXqiPc.jpg" target="_blank"><img alt="lXLXqiPc.jpg" src="http://file.mioyanoko.ichi-matsu.net/Img/1265955658/" style="border-bottom: 0px solid; border-left: 0px solid; width: 200px; height: 40px; vertical-align: middle; border-top: 0px solid; border-right: 0px solid" /></a><br />
	<br />
	小説目次</font></strong></font><br />
	<br />
	<a href="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/233/" target="_self">原作編</a><br />
	<br />
	<a href="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/249/" target="_self">原作終了後</a><br />
	<br />
	<a href="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/194/" target="_self">新婚編</a>#%E:183%#<br />
	<br />
	<a href="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/179/" target="_self">番外編</a>#%E:183%#<br />
	<br />
	<a href="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/139/">動画リンク</a><br />
	&nbsp;</div>
]]></content:encoded>
		<dc:subject>小説</dc:subject>
		<dc:date>2016-01-01T01:01:01+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/300/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/300/</link>
		<title>今後の創作活動</title>
		<description>
	イラスト「いつか、おいていってしまう」とＳＳ「乳母の寝物語」をＵＰしました。
	&amp;amp;nbsp;

	なかなか更新できなくて、頻繁に訪れて下さる方には申し訳ありません。
	年末年始以降、どうも創作速度が鈍っておりまして・・・(^^;)
	
	理由は一つ。
	今まではある程度話の概要が...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<p>
	イラスト「いつか、おいていってしまう」とＳＳ「乳母の寝物語」をＵＰしました。<br />
	&nbsp;</p>
<p>
	なかなか更新できなくて、頻繁に訪れて下さる方には申し訳ありません。<br />
	年末年始以降、どうも創作速度が鈍っておりまして・・・(^^;)<br />
	<br />
	理由は一つ。<br />
	今まではある程度話の概要が頭の中でできあがっていて、それを言葉に変換していくというのが<br />
	私の創作する上でのスタイルだったのですが、最近、そこが揺らいでしまったんですな。<br />
	闘牙王さんのお話がその最たるもので、大筋が自分の中で出来上がっていないのに、書き初めてＵＰしてしまった。<br />
	これが徹底的によろしくなかった（苦笑）<br />
	<br />
	そろそろ私も、大筋をきっちり決めた上で物語を書くという段階にきてるのかもしれないなあ、と、そう思うようになりました。<br />
	いわゆるプロットみたいなもんでしょうか。<br />
	そうしないと話の整合生がとれなくなってきてしまって。<br />
	<br />
	ということで、闘牙王さんのお話も今の続きをあらすじで書いて、そこから再びチャレンジしていくことにしたんですが、<br />
	ここで大問題が。<br />
	<br />
	わたし、戦闘シーンとか、ほんと書けないっていうか・・・・苦手っていうか・・・・・・・<br />
	<br />
	闘牙王さん・・・戦い多くて・・・・orz<br />
	<br />
	心の動きを文章で描写することは比較的、苦にならないんですが。<br />
	アクションシーンって本当に苦手でさあ・・・・・マンガでも飛ばして読むのに・・・（ ひどっ<br />
	<br />
	ということで、出来上がってる闘牙王さんのお話はあらすじも荒い。超荒挽。<br />
	これでは、まだ書くことはできないんじゃないかというレベル。<br />
	<br />
	・・・・・ということで、闘牙王さんのお話はいったん凍結。　<br />
	<br />
	<br />
	<strong><font style="font-size: medium">楽しみにしてた方、ほんとにごめんなさい！！</font></strong><br />
	（特に、にあにさん・・・！ 父上への愛情が分かるだけに・・・・！！）<br />
	<br />
	いや、いつかは絶対にちゃんと書き上げるつもりだよ。<br />
	けどね、今の私にはまだ無理なんだ！！戦闘スキル無さすぎだから。<br />
	<br />
	携帯で一発書きした小説ですばる賞とか取っちゃう天才も世の中にはいるけど、わたしにゃあそんな才能はない。<br />
	楽しみにしています、とメッセージくださった方々、本当にごめんなさい。<br />
	ほんと、申し訳ありませんが後回しにさせてください。<br />
	お父上大好きだから、自分で後から読み直したくなくなるような物語は書きたくない・・・(&acute;；&omega;；｀)<br />
	<br />
	そして、みなさまの期待からはどんどん遠ざかって、私の創作は、霧姫の物語へと突入してる。<br />
	もはや「犬夜叉」二次創作ですらない・・・・(-_-；)<br />
	<br />
	このお話、予定では、犬夜叉に出てくる登場人物はご母堂さましかでません。<br />
	<br />
	ま、誰かが暇つぶしで読んでくれれば、それでいいっす。<br />
	ご母堂さまや闘牙王さん以外にも、こんな犬妖怪の一族がいたんだなあ、くらいの。<br />
	あと、御母堂さまや闘牙王さんの若い時代の背景が書けたらいいなあ、と。<br />
	ここは、原作でも触れられていないところだったりするもんな。<br />
	今回ＵＰした『&nbsp;乳母の寝物語 』 も、その一環であります。<br />
	御母堂さまや殺生丸さまが特別な存在だってことを理由付けしたいんだな。<br />
	<br />
	というわけで、霧姫の物語に関しては、るーみっくさーちさんなどのサーチにはＵＰ情報を更新しません。<br />
	初見さんが読んでも犬夜叉の世界が舞台だって分からないと思うしね。<br />
	<br />
	ワガママ言ってすみません・・・・・(-_-;)<br />
	<br />
	あと、拍手メッセージ、いつもありがとうございます！！！<br />
	頂いたら、めちゃめちゃ嬉しいです。<br />
	ですが悲しいかな、管理人の性分でついついレスが滞りがちに・・・・（土下座！！<br />
	いつも、お返事考えてると寝てしまうんだ・・・orz<br />
	レスが必要な方は一言、添えていただくか、コメントにメッセージいただけたらと思います。<br />
	<br />
	いやほんま、プライベートでも用事があるならメールより電話するタイプでして、（&larr;しかも用件すんだらすぐ切るタイプ）<br />
	メールもらっても返事は電話がデフォなんです・・・すんません・・・・・・</p>
]]></content:encoded>
		<dc:subject>ブログ</dc:subject>
		<dc:date>2012-02-13T00:18:19+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/299/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/299/</link>
		<title>いつか、おいていってしまう</title>
		<description>

時々、不安になるの・・・・

わたしはいつか、あなたをおいていってしまうのではないか、と・・・・


それは、決まってあなたがわたしの手触りを確かめるように触れるとき
あなたの心の奥底に潜む不安が、指先から伝わってくるとき

ずっとそばにいるねって、何度も何度も言の葉にのせて...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<br />
<br />
時々、不安になるの・・・・<br />
<br />
わたしはいつか、あなたをおいていってしまうのではないか、と・・・・<br />
<br />
<br />
それは、決まってあなたがわたしの手触りを確かめるように触れるとき<br />
あなたの心の奥底に潜む不安が、指先から伝わってくるとき<br />
<br />
ずっとそばにいるねって、何度も何度も言の葉にのせて届けても<br />
あなたの心の奥底までは届かないの ―――――・・・・<br />
<br />
<br />
<br />
ねえ、殺生丸さま・・・<br />
<br />
<br />
わたしはあなたをちゃんと愛せていますか・・・？<br />
<br />
<br />
<br />
<a href="http://file.mioyanoko.ichi-matsu.net/8bbb031f.jpg" target="_blank"><img alt="8bbb031f.jpg" src="http://file.mioyanoko.ichi-matsu.net/8bbb031f.jpg" style="border-bottom: 0px solid; border-left: 0px solid; width: 540px; height: 702px; border-top: 0px solid; border-right: 0px solid" /></a><br />
<br />
<br />
<br />
ＢＧＭは高鈴の<a href="http://www.nicovideo.jp/watch/sm6066716"> 『&nbsp;愛してる 』</a><br />
歌詞が殺りんすぎて・・・。<br />
<br />
背景違いをピクシブにもＵＰしました。]]></content:encoded>
		<dc:subject>小説</dc:subject>
		<dc:date>2012-02-12T23:41:42+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/298/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/298/</link>
		<title>乳母の寝物語</title>
		<description>
	&amp;amp;nbsp;
	&amp;amp;nbsp;
	――――・・・夜も更けてまいりましたわ
	&amp;amp;nbsp;
	&amp;amp;nbsp;
	さあ、今宵は古い古い「月光」のお話をいたしましょうね
	&amp;amp;nbsp;
	この世とあの世が分かれて、まだ間もない頃・・・遠い遠い、昔のお話でございます――――・・・・
	&amp;amp;n...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<p>
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	――――・・・夜も更けてまいりましたわ<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	さあ、今宵は古い古い「月光」のお話をいたしましょうね<br />
	&nbsp;<br />
	この世とあの世が分かれて、まだ間もない頃・・・遠い遠い、昔のお話でございます――――・・・・<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	・・・この世には、けして混じり合うことのない二つの世界がございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	光と闇　清と邪　生と死・・・・・<br />
	陽があれば陰があり、陰があるからこそ陽がある<br />
	わたくしたちの住む世界は、その陰陽の均衡の上に成り立っているのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;・・・・けして交わることのない陰陽の二つの世界<br />
	&nbsp;・・・・・・けれど、それらも境界線ではわずかに交わることがあるのです<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	例えて言うなれば・・・・光と闇が入り交じる夕闇の訪れは&rdquo;逢魔が時 &rdquo;<br />
	&rdquo;賽の河原&rdquo;に&rdquo;黄泉比良坂&rdquo;に&rdquo;三途の川&rdquo;・・・様々な名で呼ばれる、&rdquo;この世とあの世のあわい&rdquo;<br />
	肉体を失ってなお、この世にとどまり続ける霊や魂たち・・・・<br />
	形はなけれども、そこここに宿る神や精霊・・・・<br />
	&nbsp;<br />
	これらは、まだ世界が混沌としていた頃・・・神の世の名残なのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	――――― 今宵は、その神代（かみよ）のお話でございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	遠い遠い昔、夜空に月はなく、夜は光の届かぬ真の闇の世界でございました<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	太陽が落ちるとそこは、冥界に繋がる深い深い闇<br />
	この世に再び太陽が昇り朝がくるまで、夜は黄泉の悪鬼たちが支配しておりました<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	高天原から下界をご覧になった神々は、お悩みになられました<br />
	この国は、本来は八百万の神々が治めるべき豊かな国<br />
	このように夜な夜な悪鬼がさまようようでは、清らかな神々が豊芦原の中つ国に降り立つことすら出来ぬ、と<br />
	&nbsp;<br />
	そこで、神々は夜の世界に一つの光を送りこまれたのでございます<br />
	夜の闇をあまねく照らし、黄泉を遠ざける光・・・・それは、月の光でございました<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	――――― 夜の月を治めしは、月読命＜ツクヨミ＞さま<br />
	&nbsp;<br />
	そのお姿は月の化身のごとく<br />
	白銀の御髪、淡き金色の涼やかなまなざし、まさに月の光のような静謐で尊いお姿・・・<br />
	&nbsp;<br />
	高天原をしろしめす天照＜アマテラス＞さまを姉に持たれ、<br />
	海原をしろすめす須佐之男＜スサノオ＞さまを弟に持たれ、<br />
	父イザナギさまからは、そなたは月の光を持ちて夜の世界をしろしめせと命を受けられた、尊い神様でございます<br />
	&nbsp;<br />
	八百万の神々にとって、高天原の神々の決定は絶対にございます<br />
	月読命さまは、夜の世界を光で照らし、闇を退け、神々が世を支配できるようになさるのがお役目にございました<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	・・・・しかし、いかがでございましょう？<br />
	&nbsp;<br />
	わたくしたちが見る月光は、静謐で美しくはありまするが、闇を退けているほどでもございませぬ<br />
	夜の世界を照らす姿もゆらゆらと移りゆき、その姿を見せぬ夜すらございます<br />
	&nbsp;<br />
	月光とは、とても曖昧な光だとは思われませぬか・・・？<br />
	なぜなのでございましょう・・・・？<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	――――― それも仕方のないことなのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	月読命さまは夜の世界へおもむき、そこである姫に出会われたのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	――――― 月読命が出会われたのは、冥界の主の娘・・・闇姫さま<br />
	&nbsp;<br />
	そのお姿はまさに、闇の中で光る宝玉のごとし<br />
	輝く漆黒の髪、金剛石の煌めく瞳、真白な肌は磨き抜かれた真珠のよう・・・<br />
	&nbsp;<br />
	闇姫さまは、月読命さまがそれまで出会われたどんな女神さまよりもお美しかった<br />
	そしてまた、ずっと闇の世界でお育ちになられた闇姫さまにとっても、月読命さまのお姿は、それはそれは眩いものだったので<br />
	ございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	・・・月読命さまと闇姫さまは、互いに一目で、恋に落ちてしまわれました<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	そして月読命さまは、空に月をのせることすら忘れてしまうほどに、闇姫さまと愛し合われたのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	・・・・・恋とは、まこと恐ろしき力を秘めているものにございます<br />
	天上から参られた尊い神ですら、その力にあがらうことは叶いませんでした<br />
	&nbsp;<br />
	されど、月読命さまにとって、父・イザナギさまの命は絶対にございます<br />
	いつまでも闇姫さまと睦みあい、この世の夜を闇のままにしておくわけにも参りませぬ<br />
	夜に光をもたらすというこのお役目は、誰ぞに変わってもらうことのできぬ類のもの<br />
	月を操れるのは、この世で月読命さまだけが成しうる神業だったのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	・・・・月読命さまは、深くお悩みになられました<br />
	&nbsp;<br />
	実は、闇でお育ちになられた闇姫さまは、闇の中でのみ存在しうる姫君さまだったのでございます<br />
	星々のような淡い光ならまだしも、強い光の中では、そのお姿を保つことができませぬ<br />
	照らすものに影さえ作る月の光は、闇でお育ちになられた闇姫さまには強すぎる光でございました<br />
	&nbsp;<br />
	・・・けれど、このまま夜空に月を乗せずにいれば、お父上であられるイザナギさまをはじめ、高天原の神々のお怒りを<br />
	かうのは火を見るより明らかでございます<br />
	&nbsp;<br />
	・・・己の使命と闇姫さまとの狭間でお悩みになられる月読命さまに、闇姫さまは仰せになられました<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	――――― 愛しい愛しい我が君よ<br />
	&nbsp;<br />
	わたくしには構わず、どうぞ空へ昇り、お役目どおり夜空に月を浮かべて下さいませ<br />
	&nbsp;<br />
	黄泉の鬼たちには、月の光の届かぬ冥界から外へは出ぬようにと、父とわたくしから言い聞かせます<br />
	さすれば、夜の世界は高天原の神々が治められる穏やかな世界となりましょう<br />
	&nbsp;<br />
	これで、あなたさまが高天原の神々から罰せられることもありますまい<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	・・・けれど、どうかひとつだけお約束下さいませ<br />
	&nbsp;<br />
	せめて、月に一度・・・<br />
	空から降りて、わたくしの元へ、通ってきては下さいませぬか<br />
	&nbsp;<br />
	あなたさまが夜空でわたくしを想うて下さるように・・・わたくしも、闇の奥で愛しい我が君を想い続けましょう<br />
	&nbsp;<br />
	月に一度、あなたさまがお越し下さるのを待ちながら、永遠に・・・・・<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	・・・こうして、月読命さまと闇姫さまは互いを想いつつも、分かれてお暮らしになられることとなったのです<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	月読命さまは約束通り、月に一度だけ夜空から地上に降りられ、闇姫さまの元へお通いになられました<br />
	けれど、離れておればおるだけ、闇姫さまを愛しく想う気持ちは募るばかり・・・心は寂しさに揺れ動くばかり・・・<br />
	&nbsp;<br />
	ですから、月の姿は月読命さまのお心にあわせて、大きくなったり小さくなったり、ゆらゆらと揺れ動くのだそうにございます<br />
	そして、月読命さまが闇姫さまのもとに通われるその夜は、月が空に上らぬ「朔」という闇夜になったそうにございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	――――― さて、何百年ほど後のことか・・・<br />
	&nbsp;<br />
	月読命さまと闇姫さまの間には、御子がお生まれになりました<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	その存在は、まさに、光と闇のあわい<br />
	&nbsp;<br />
	・・・そう、御子は、妖として生を受けられたのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	月読命さまも闇姫さまも、たった一人の御子を、それはそれは慈しんでお育てになられました<br />
	闇であり、光であり、生であり、死であり、そのすべてに愛された妖・・・<br />
	&nbsp;<br />
	「闇月の君」と呼ばれたその御方は、ご両親のお姿を受け継ぎ、額には月の文様、頬には闇の主の印、そして比類無き<br />
	美しさを誇ったそうにございます<br />
	&nbsp;<br />
	そして時折、長い尾を持つ真白な狗に姿を変えることがあったそうにございます・・・・<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	・・・・月の光が美しきは、そばに闇ありてこそ<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;・・・・・・月読命さまの月の光が夜の闇に甘く溶けるのは、御子である妖さまと、闇姫さまを想うお気持ちゆえなのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	――――― お分かりになりましたか？<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	この 『 闇月の君 』 こそ、我ら、狗一族の始祖でいらっしゃるのです<br />
	&nbsp;<br />
	遡れば神の系譜へと辿りつく血筋、それが我ら一族の誇りであり、力の源なのでございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	まあ、殺生丸さま・・・<br />
	そんなに目をお擦りになられて・・・・<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	もう、眠うなられたのでございますか？<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	・・・・<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	・・・まあ、わたくしの話がつまらぬ、と？<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	ふふ、まだ殺生丸さまに恋のお話は早うございましたわね・・・<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	さあ、今宵はもうお休みなさいませ<br />
	&nbsp;<br />
	夜も更けましてございます<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	――――― 今宵はきっと、いい夢が見れましてよ・・・・・<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	&nbsp;<br />
	乳母の寝物語・・・・・終<br />
	&nbsp;</p>
]]></content:encoded>
		<dc:subject>小説</dc:subject>
		<dc:date>2012-02-07T00:54:17+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/297/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/297/</link>
		<title>小さな花・後書き</title>
		<description>
殺生丸とりんの会話はある程度、頭に入っているんですが、一つだけ、気になることが残っていたのです。

それは、 『 呪詛の仮面 』 というゲームの中での会話であります。
私はこのゲームを持っていなくて、初めてみたのはニコ動の投稿動画だったんですけれども。

参考までに、この会話のシーンを...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<br />
殺生丸とりんの会話はある程度、頭に入っているんですが、一つだけ、気になることが残っていたのです。<br />
<br />
それは、 『 呪詛の仮面 』 というゲームの中での会話であります。<br />
私はこのゲームを持っていなくて、初めてみたのはニコ動の投稿動画だったんですけれども。<br />
<br />
参考までに、この会話のシーンを貼りつけておきます。<br />
殺りんシーンは 冒頭の０１：００～くらいからです。<br />
<br />
<br />
<br />
<script type="text/javascript" src="http://ext.nicovideo.jp/thumb_watch/sm10048300?w=400&amp;h=300"></script>&lt;<br />
<br />
<br />
<br />
会話は、以下のとおり。<br />
<br />
りん　　　「あ、殺生丸さま！　ねえ、殺生丸さまはお花が好き？」<br />
殺生丸 　「・・・・・・・」<br />
殺生丸　 「りん・・・」<br />
りん　　　 「はい？」<br />
殺生丸　 「花が好きなのか？」<br />
りん　　　 「うん！だって、きれいなんだもん」<br />
殺生丸　 「きれい・・・？」<br />
りん　　　 「見て、殺生丸さま！ このお花、とってもきれいでしょう？」<br />
殺生丸　&nbsp;「・・・・・」<br />
邪見　　　「こ・・・こらっ！ りん！ そんなくだらぬことで殺生丸さまに話しかけるなっ！」<br />
りん　　　&nbsp;「ご、ごめんなさい・・・・」<br />
殺生丸　 「・・・・・」<br />
邪見　　　「えっ？」<br />
殺生丸　&nbsp; 「邪見。うるさいぞ・・・・」<br />
邪見　　　 「な、なぜ、わたしがお叱りを・・・？」<br />
りん　　　&nbsp; 「・・・？」<br />
<br />
<br />
この会話が、ずっと私の中で気にかかっていたのです。<br />
<br />
<font style="font-size: small"><strong>「花が好きなのか？」　「きれい・・・？」</strong></font><br />
<br />
原作では、絶対に聞けない公式の御言葉ですよね！！ﾊｽﾊｽ！！！<br />
<br />
あの時、殺生丸は一体何を考えていたんだろうかと。<br />
成田ボイスで聞いていると、殺生丸はどうしてりんが花を愛でるのか、そして、そもそも「キレイ」ということが何なのか<br />
よく分かっていないんじゃないかとすら、私には感じるのですよ。<br />
邪見の茶々が入らなければ、二人の間であのまま会話が続いていたのではないか、とか。<br />
そうしたら、なぜ、りんに花が好きなのかと問うた殺生丸の心模様が見えたんじゃないのか、とか。<br />
もう、ずっと気になって仕方なかったんですが。<br />
<br />
<br />
りんが花を愛でる姿に、殺生丸が己の中にある、りんを愛でる気持ちに気付けばいいな、と。<br />
そんな願いを込めつつのお話であります。<br />
<br />
]]></content:encoded>
		<dc:subject>ブログ</dc:subject>
		<dc:date>2012-01-17T16:22:55+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/296/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/296/</link>
		<title>小さな花</title>
		<description>


「 うわあー！ きれいなお花畑！」



拾った、小さな人間の娘が双頭竜の上で嬉しそうな声をあげる。

「ねえ、降りてもいい？ ここで、花飾りを作ってもいい？！ 」

「あほうっ！！ 殺生丸さまはお忙しいのじゃっ！！ そんなに遊んでいたいなら、一人で行くがよい！ 　そのか...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<br />
<br />
<br />
「 うわあー！ きれいなお花畑！」<br />
<br />
<br />
<br />
拾った、小さな人間の娘が双頭竜の上で嬉しそうな声をあげる。<br />
<br />
「ねえ、降りてもいい？ ここで、花飾りを作ってもいい？！ 」<br />
<br />
「あほうっ！！ 殺生丸さまはお忙しいのじゃっ！！ そんなに遊んでいたいなら、一人で行くがよい！ 　そのかわり、お前なんぞ<br />
　置いて行くからの！！ 文句は言うなよっ！！！ 」<br />
<br />
邪見がそう言うと、人間の娘・・・りんは、ふっくらとした頬を、更にぷうっと丸くした。<br />
あからさまな、不満の表情。<br />
<br />
「邪見さまの、けち ―――― ！！」<br />
<br />
「けっ・・・けちとは何じゃ、けちとは！！ おまえ、誰に向かって・・・・！」<br />
<br />
「ふーんだ。 殺生丸さまは優しいから、りんにそんなこと言わないもん！ ね、殺生丸さま？」<br />
<br />
突然こちらに話を振られて、私は無表情に二人を見返した。<br />
りんがどうしてこの野原にそんなに留まりたがるのか、私には分からない。<br />
<br />
・・・・が、奈落の情報が全く途切れている今、殊更、急ぐ道でもない。<br />
<br />
「――――&nbsp; 好きにしろ」<br />
<br />
そういうと、りんは星が飛び散るような笑顔を見せて、阿吽から飛び降りた。<br />
<br />
「ありがとう、殺生丸さまー！」<br />
<br />
「えっ・・・えええええ！？ こっ・・・こりゃー！ 勝手に遠くに行くんじゃない！！」<br />
<br />
慌てたように、邪見が阿吽を引いてりんを追いかける。<br />
<br />
<br />
<br />
―――― りんがこういう野原で遊びたがるのは、いつものことだ。<br />
<br />
私には、りんがどうして植物の花になぞ執着をみせるのか、皆目分からない。<br />
植物にとって花は、実をつけるための一過程にほかならない。<br />
色とりどりの形も、 甘い匂いを放つのも、受粉をする虫を呼ぶための擬態のようなもの。<br />
<br />
そこに、この幼い人間の娘は殊更に思い入れを持っているらしい。<br />
行く先々で、りんは野に咲く花を見ては顔を輝かせている。<br />
<br />
（・・・・・きれい・・・か）<br />
<br />
私は、緩やかな斜面を見下ろすと、はしゃぎまわるりんと、それを追いかける従僕の姿を眺めながら、<br />
側にあった倒木に腰を下ろした。<br />
<br />
空は青く、高く、澄んでいる。<br />
<br />
<br />
―――― 綺麗。<br />
<br />
りんは、よくそう言う。<br />
<br />
りんがそういう度に、私の中で、何かが僅かに引っかかる。<br />
それが何なのか、私はずっと掴みかねている。<br />
<br />
引っかかっているのは、曖昧で、形がなく、あやふやな何か。<br />
私が掴みかねているのは、その何かだ。<br />
<br />
・・・・分からぬものを分からぬままで放っておくのは、好きではない。<br />
私は、少なくとも、己がどういう性質の妖か分かっているつもりだ。<br />
<br />
戦いに生きること。<br />
それだけが、私に与えられた私だけの道だ。<br />
その道を進むことに恐れも躊躇も無い。<br />
<br />
・・・その私が、己の心の中の何かを、掴みかねている。<br />
このようなことは、今まであり得なかったことだ。<br />
<br />
そして、更に不可解なのは、この感覚が私にとって不快ではないということだ。<br />
<br />
・・・これは、何だ・・・？<br />
<br />
<br />
小さな人間の娘がはしゃぎ回る声を遠くに聞きながら、わたしは右手の手のひらを眺めてみる。<br />
<br />
掴みかねているものは、形があるようで、無いような。<br />
普遍的であるようで、脆く儚いような、そんな何かだ。<br />
言葉だけで知っているような――――― ・・・。<br />
<br />
<br />
（・・・・これは、何だ・・・？ ）<br />
<br />
<br />
青く突き抜ける空を見上げて、ゆっくりと目を閉じた。<br />
分かっているのは、ただ一つ。<br />
<br />
<br />
・・・そう。　これは、少なくともこれは私にとって不快ではない、何かだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＊＊＊＊＊＊＊<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
しばらくすると、走り回って息を切らしたりんが、近づいてきている足音が聞こえた。<br />
<br />
「 はい、殺生丸さま！！ 綺麗でしょう？」<br />
<br />
膝の上に、束ねられた花が置かれる。<br />
名も知らぬ草花から、柔らかな匂いと、こうばしい日向の匂いがする。<br />
りんの手からは、ちぎったときに付いたのであろう、植物の茎と土の匂い。<br />
<br />
<br />
「・・・・・」<br />
<br />
<br />
私は、言葉もなく置かれた花束を見る。<br />
<br />
「ね、綺麗でしょう？ 殺生丸さま？」<br />
<br />
「ば、ばかもん・・・！ 殺生丸さまがそんなものに興味があるはずがなかろうっ！！」<br />
<br />
ぜいぜいと息を切らしながら邪見がやってきて、りんを後ろから叱りつけた。<br />
りんはそんな邪見の言葉には耳をかさず、じいっと大きな目で私を見上げて、もう一度言った。<br />
<br />
「一番、綺麗なお花を選んだの。 たくさんあったから、迷っちゃったけど」<br />
<br />
「だーかーら、殺生丸さまはそんなものには興味はないと・・・・」<br />
<br />
「・・・・・綺麗？　お前はこれを綺麗と思うのか？」<br />
<br />
邪見が私の言葉に息をのんだ。<br />
<br />
「え・・・せ、殺生丸さま、今、何と・・・？」<br />
<br />
今、また少しだけ、掴みかけていた何かに触れた。<br />
余計な口を利くなと、私は邪見を睨みつける。<br />
従僕ごときが、私の思考を邪魔するのは許さない。<br />
<br />
「い、いえ、あの・・・」<br />
<br />
言葉を濁しながら邪見は後ろずさり、そのままちゃっかりとりんの後ろに隠れた。<br />
相変わらず、そういうところだけは聡い。<br />
一睨みすると、緑色の小さな体がきゅっと更に小さくなった。<br />
<br />
私は、改めてりんに向きなおり、問う。<br />
<br />
「・・・りん、お前にとって「綺麗」とは何だ？」<br />
<br />
きっと、りんの言う「綺麗」という言葉に、私の中の何かが引っかかっている。<br />
<br />
「おまえは、よくそう言う。花を見ても、空をみても、星を見ても「綺麗だ」と」<br />
<br />
「・・・・殺生丸さまは、お花を綺麗と思わないの？」<br />
<br />
きょとんとした顔で、りんは私を見上げてそう聞いた。<br />
<br />
「 思わぬ」<br />
<br />
私がにべもなくそう言うと、りんは驚いた顔をする。<br />
<br />
「 どうして？　だって、あんなに色も形も可愛くて、いい匂いまでするのに」<br />
<br />
「・・・花とは、植物が短い生の中で実を残すための手段にすぎぬ。」<br />
<br />
「・・・どういうこと？」<br />
<br />
りんは、不可解そうな顔をした。<br />
つまり――― と、説明するのは従僕の役割だ。<br />
黙ったままの私の顔色をちらちらと伺いながら、邪見がおたおたと口を開く。<br />
<br />
「つつつ、つまりじゃな、何というかその、植物は子を残すために、今の時期だけ花をつけて綺麗になるんじゃ」<br />
<br />
「・・・・うん。　だから、お花は綺麗なんでしょう？」<br />
<br />
「 お、おう、まあ、そうじゃのう」<br />
<br />
「・・・・・・」<br />
<br />
「・・・・・・」<br />
<br />
<br />
邪見とりんの会話は、あっけなく軍配をりんに掲げて終わる。<br />
私は、呆れたように従僕を見下ろした。<br />
これほど簡単に押し切られるということは、つまり、邪見の感覚は人間＜りん＞に近いということか。<br />
これでも一応妖怪だというのだから笑わせる。<br />
<br />
「・・・・もういい」<br />
<br />
・・・・別にこの人間の娘の感覚を私の感覚で論破したかったわけではないし、元々、とるに足らぬ些事だ。<br />
つまらぬ問いかけをしてしまった己がバカバカしい。<br />
立ち上がり歩きだそうとすると、りんが私の袖を引っ張った。<br />
<br />
「まって、殺生丸さま！」<br />
<br />
振り向くと、りんは袖を掴んだまま私を見上げて、必死に口を開いた。<br />
<br />
「 あのね、きっと、今だけだからだと思うの！」<br />
<br />
「・・・・」<br />
<br />
りんは私が膝の上から落とした花の束を、しっかりと握りしめていた。<br />
<br />
「 りんが、お花を綺麗だって思うのは、きっとお花が綺麗なのは今だけだからだと思うの。 だって、明日には枯れちゃうかも<br />
　しれないでしょう？ 　そう思うと、とってもね、・・・・なんて言うか、眩しくて」<br />
<br />
「・・・・・・」<br />
<br />
「お花が綺麗なのは、ほんの少しの間だけだから・・・だから、殺生丸さまにも見てほしいなって思って、それでさっきは、<br />
　花束にしたの。　殺生丸さまに聞かれるまで、どうしてお花を綺麗に思うかなんて、りんは考えたこともなかったけど・・・ 」<br />
<br />
りんの大きな目が何のてらいもなく、まっすぐにじっと私を見つめる。<br />
人間でありながら人間に疎まれ、妖に拾われた、哀れで小さな人間の娘。<br />
誰もが恐れてやまぬこの私を真正面から見つめて恐れぬのは、この娘くらいのものだ。<br />
<br />
「りんはね、綺麗なお花をみてると、それだけですごく幸せな気持ちになるんだけど。　りんが綺麗だって思うものを、<br />
　殺生丸さまにも見てほしいって、そう思うのは・・・おかしいのかな・・・？」<br />
<br />
りんは、かすかに首を傾げて私にそう問うた。<br />
<br />
「・・・・お前が花を愛でたくば、愛でればいい」<br />
<br />
私に花を献じる必要はない。　<br />
私は、花を美しいとは思わぬからだ。<br />
けれど、りんが花を愛でている姿は不快ではない。<br />
<br />
・・・そう。　それ以上でもそれ以下でもない。<br />
・・・・ただ、それだけのこと。<br />
<br />
私はただ、花を愛でるお前を ―――― 守るだけのこと。<br />
<br />
<br />
<br />
私はするりとりんの手から袖を抜くと、野に背を向けて歩きだした。<br />
<br />
「あっ、待って！」<br />
「ああ、殺生丸さま、お待ちを～！！」<br />
<br />
背後から、邪見とりんが慌ててついてくる足音が聞こえてくる。<br />
<br />
「 ほれみろっ！　殺生丸さまが花なんぞに興味があるはずがなかろうがっ！！」<br />
<br />
小声で邪見がりんを叱っている。<br />
そして、不満げなりんの声。<br />
<br />
「ええ～・・・そんなことないと思うけどなあ・・・」<br />
<br />
「そんなことないこと、ないわいっ！」<br />
<br />
<br />
くどくどと叱る従者の言葉もあの娘に届くのは、いつまでのことか。<br />
もう半時もしないうちに、きっと双頭龍の上から、安心しきった寝息が聞こえてくるだろう。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
・・・・なぜ、あの娘が紡ぐ「綺麗」という言葉に、私が気をとられてしまうのか。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「きっと、今だけだからだと思うの」<br />
「花が綺麗なのは、今だけだから」<br />
「だから、とっても、眩しくて」<br />
「見てるだけで、幸せな気持ちになるの」<br />
<br />
<br />
<br />
・・・・・そうか。<br />
・・・・・・・幼い娘から紡ぎ出される言葉は、私にとっては＜りん＞そのものだからだ。<br />
<br />
<br />
花のようで、月のようで、星のようで、夜明けの空のようで、目の覚めるような海の色より美しい光彩を放ちながら、<br />
お前は私のそばをくるくると回る。<br />
あっという間に姿を変えて、お前は私のそばをすり抜けていくだろう。<br />
・・・・人間であるお前の命は、あまりに短い。<br />
<br />
<br />
<br />
形があるようで、無いような。<br />
普遍的であるようで、脆く儚いような。<br />
言葉だけで知っているような・・・・・あやふやで、曖昧な何か。<br />
<br />
<br />
・・・だからこそ、手にとって確かめたくなるのだろうか。<br />
りんが、花を愛でるように。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
・・・ああ、そうか。<br />
<br />
ずっと掴みかねていた、これは。<br />
<br />
・・・・これは、りんに対する私の思いだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
―――――&nbsp; 私はどうやら、この小さな花を「愛でて」いるらしい。<br />
<br />
「りん」という、儚く淡い、小さな花を。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<a href="http://file.mioyanoko.ichi-matsu.net/497914430.jpg" target="_blank"><img alt="497914430.jpg" src="http://file.mioyanoko.ichi-matsu.net/Img/1326838491/" style="border-bottom: 0px solid; border-left: 0px solid; width: 375px; float: left; height: 500px; border-top: 0px solid; border-right: 0px solid" /></a><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
イラスト<br />
<a href="http://homepage2.nifty.com/psychopomp/">Psychopomp</a>　　時子さまより#%E:183%#<br />
　<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<a href="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/297/">後書きへ</a>]]></content:encoded>
		<dc:subject>小説</dc:subject>
		<dc:date>2012-01-17T15:55:07+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/295/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/295/</link>
		<title>あけました！！</title>
		<description>
皆さま、明けましておめでとうございます(*&amp;amp;acute;&amp;amp;nabla;｀*)！！

もう新年明けて何日たってんだー！！という自分自身の突っ込みは無視して本年もよろしくお願いいたします！！！

一月も半分が終わっちゃったよ～(ーー;)　早いなあ・・・。
今日は、センター試験だったんですよ...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<br />
皆さま、明けましておめでとうございます(*&acute;&nabla;｀*)！！<br />
<br />
もう新年明けて何日たってんだー！！という自分自身の突っ込みは無視して本年もよろしくお願いいたします！！！<br />
<br />
一月も半分が終わっちゃったよ～(ーー;)　早いなあ・・・。<br />
今日は、センター試験だったんですよね。　受験生の皆さんは大変だったろうなあ・・・。<br />
私自身はセンター試験ってのは味わってないのです。<br />
大学は推薦入試ですませてしまったので・・・。　今思えば、やるだけやっても良かったと思うなあ。<br />
<br />
最近思うんですが、どんなに大変なことでも、考え方ひとつで人生のいいスパイスにできるもんですよ。<br />
大滑りした受験だって、何だって。<br />
<br />
かく言う私は、受験での一番の失敗と言えば、家族全員で私の大学受験日を間違えたことでしょうかね！（大爆笑）<br />
受験当日、大学に行ったら会場がどこにもなかったと言う（苦笑）<br />
あの間違いに、当日まで両親も本人も気が付かなかったっていうのがすごい（笑）<br />
わざわざ九州から大阪まで行ったのに、当日、受験会場が無かったというあの思い出は忘れられません！<br />
<br />
あの時、大阪の公衆電話から泣きながら母親に、「受験日、昨日だったみたい・・・どうしよう！」って電話をかけると、<br />
母親が一言。<br />
<br />
<br />
「・・・・これだからダメなのよね、うちって家族全員Ｂ型だから・・・全員、抜けてんのよ。」<br />
<br />
<br />
<br />
え　&Sigma;(ﾟдﾟ;)？！　そういう問題？！<br />
涙も引っこむっちゅーねん。<br />
<br />
いやー、今だから笑って話せますが、あの当時はシャレになりませんでしたよ・・・。<br />
自分のＢ型をどれだけ呪ったことか・・・（笑）<br />
<br />
<br />
ま、かくいう私も今ではそれなりの社会人です。<br />
人生、何とかなるって！<br />
とにかく頑張れ、受験生！！<br />
<br />
捨てる神あれば拾う神ありって言うではないか。<br />
肝心なのは、きっと明るい未来に繋がっていると信じて、楽観的に前向きに頑張ることなんだと思うな！！<br />
<br />
<br />
個人的なことですが、正月に人生初の流産を経験しました。<br />
手術が必要で無かったことが、本当にありがたかったです。<br />
まあ、まだまだ母親になるのは早いっていうことなんだと勝手に解釈して、色んな方向にアンテナ伸ばして、<br />
今年も頑張っていこうと思います(*&acute;&nabla;｀*)！<br />
<br />
残念ながら、創作が今一つ進まず・・・(ーー;)<br />
ほんと、毎日のように訪れて下さる方に申し訳ないと思いながら。<br />
<br />
毎日、アホの管理人が何してるかは、ついったーにて呟いてますので、覗いてやってくださいませ。<br />
お正月は本当にたくさんの方々に拍手していただいて、ありがとうございました！！<br />
一つ一つレスをお返しできないんですが、メッセージで労わりの御言葉を頂いたたくさんの方々にも、感謝を申し上げます。<br />
<br />
きっと、何にでも前向きであったであろうと思う、成長したりんちゃんを。<br />
人里に住んでいながら、妖怪と寄り添う一生を選ぶりんちゃんって、本当に心が強いって思うよ。<br />
真夜中に思い立って描きはじめたんですが、私って絵のタッチが全く安定してないんですよねえ・・・。<br />
結局、誰これ状態ですが。<br />
<br />
<br />
<br />
<a href="http://file.mioyanoko.ichi-matsu.net/df96f3dc.jpg" target="_blank"><img alt="df96f3dc.jpg" src="http://file.mioyanoko.ichi-matsu.net/Img/1326550627/" style="border-bottom: 0px solid; border-left: 0px solid; width: 375px; float: left; height: 500px; border-top: 0px solid; border-right: 0px solid" /></a><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
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<br />
<br />
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<br />
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<br />
<br />
<div style="clear:both"></div>]]></content:encoded>
		<dc:subject>ブログ</dc:subject>
		<dc:date>2012-01-14T23:23:19+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/294/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/294/</link>
		<title>今年も一年、ありがとうございました！！</title>
		<description>
毎年恒例、実家の神社に帰ってきております。

うちでは、これからが仕事の本番なんだぜ・・・・・！！！




今年は、本当に色々とあった年でしたねぇ・・・。

思い出すのも辛いですが、震災があった後、「少しでも、誰かが喜んで読んでくれるならば」と、
喪に服したい気持ちの中で、...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<br />
毎年恒例、実家の神社に帰ってきております。<br />
<br />
うちでは、これからが仕事の本番なんだぜ・・・・・！！！<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
今年は、本当に色々とあった年でしたねぇ・・・。<br />
<br />
思い出すのも辛いですが、震災があった後、「少しでも、誰かが喜んで読んでくれるならば」と、<br />
喪に服したい気持ちの中で、物語を細々と書き続けてきました。<br />
<br />
今年の漢字は「絆」だそうですが、私は誰かの役に少しでも立てたんだろうかと、思い返す毎日です。<br />
私にとっては、皆さんから頂けるコメントや拍手メッセージやメール、それらがあるからこそ、<br />
二次創作が続けられるんだなあと気がつかされた年でもありました。<br />
<br />
思いつくままにお話を書いていったら、最近では本家の殺りん話はどこへやら（＾＾；）<br />
お父ちゃんやらオリキャラメインのお話ばっかりで、本当に申し訳ありませんでした。<br />
このサイトは殺りん・・・・・です、多分・・・・（－－；）<br />
<br />
今年のお正月のように、来年に向けても干支の殺りんイラストなんかを描こうかと思ったりもしてたんですが、<br />
11月の末に妊娠、12月の末に流産という流れの中で、そういう精神的な余裕が全然無かった。・・・残念。<br />
<br />
よくもまあ、こんな精神状態の時に、こうやって実家に帰って仕事してるよなあ、という若干呆れた目で、<br />
自分の事を見ていたりします。<br />
今から、身を粉にして働くんだぜぇ・・・・寒空の下でさあ。<br />
まあ、言ってみれば仕事人としての自負はあれど、母親になる心の準備は全く出来ていなかったということでしょうかね・・・＾＾；<br />
<br />
母親になるってーのは、本当に、精神的にも肉体的にも、母体の負担がパネエですね。<br />
それをガツンと味わった年末でした。<br />
<br />
自分の弱さとか脆さとかを目の当たりにしたし、母親になる前にやっとかないといけなかったことにも<br />
真正面から向き合わなきゃいけなくなったりして、もう、心がズタボロでしたー。<br />
「残念ですが、流産ですね」って言われたときには、予感があったからか、ショックというよりももはや、<br />
早々に結果が分かって良かったって、肩の荷が下りた気持ちになりましたもん。<br />
<br />
いやー・・・、世の中のお母ちゃんたち、本当にすごいよー・・・。尊敬する！！<br />
<br />
現在の私の体の状況としては、正月明け、正式に流産する予定。（イヤな予定だな、おい・・・（＾＾；）<br />
自然に起きなければ、手術しなくちゃならんのです。　ぎゃふん。<br />
今から、職場に何て言おうか、悩ましいですわ・・・・。<br />
<br />
私の小説の中では、りんちゃんが今、妊娠中（＾＾*）<br />
きっと、可愛い子供たちに恵まれることと思います。<br />
その彼らのお話も、ずっと先の未来の二人のお話も・・・・・・またいつか、カタチになればいいな。<br />
<br />
来年も、細々と殺りん界の片隅で物語を紡げたら幸せです。<br />
<br />
こんな、へんちくりんサイトに今年一年、遊びに来てくださって、本当にありがとうございました！！<br />
どうか、来年もまた懲りずに遊びにきてくださることを、全力で期待しております！！！<br />
<br />
<br />
皆様、どうぞ、よいお年をお迎えくださいませ （*＾▽＾*）/<br />
<br />
<br />
<br />
平成二十三年　師走　大晦日<br />
]]></content:encoded>
		<dc:subject>ブログ</dc:subject>
		<dc:date>2011-12-31T01:50:05+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/293/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/293/</link>
		<title>春浅し、恋　・・・・柚月・・・・</title>
		<description>
このＢＧＭを聞きながら書きました。
よければ、リピートで。






&amp;amp;nbsp;
&amp;amp;nbsp;





―――― &amp;amp;nbsp;ねえ、兄さま・・・・。


・・・・どうした？


・・・苦しくて、すごく寒いの・・・。 頭も痛い・・・。喉も、痛いよ・・...</description>
		<content:encoded><![CDATA[<br />
このＢＧＭを聞きながら書きました。<br />
よければ、リピートで。<br />
<br />
<script type="text/javascript" src="http://ext.nicovideo.jp/thumb_watch/sm2164311?w=200&amp;h=150"></script><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
―――― &nbsp;ねえ、兄さま・・・・。<br />
<br />
<br />
・・・・どうした？<br />
<br />
<br />
・・・苦しくて、すごく寒いの・・・。 頭も痛い・・・。喉も、痛いよ・・・・。<br />
<br />
<br />
大丈夫だよ、柚月。 風邪で、熱が出てるだけだからね。 母さまの薬を飲めば、すぐ楽になるよ。&nbsp;<br />
<br />
<br />
・・・・ねえ、兄さま・・・そばにいて。 柚月と一緒に、いて・・・。<br />
<br />
<br />
・・・・・ああ、大丈夫だよ、柚月。 ちゃんと、そばにいるよ。<br />
<br />
<br />
ほんとう・・・？ 柚月が眠るまで、ちゃんとそばにいてくれる？<br />
<br />
<br />
・・・・ああ。 だから、安心してお眠り・・・・柚月。<br />
<br />
<br />
<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
<br />
&nbsp;<br />
・・・・・・兄さま<br />
<br />
・・・・・・・兄さま<br />
<br />
<br />
・・・・・・・・・・お願い、手を握っていて<br />
<br />
<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
<br />
「・・・・・・・・兄・・・さま・・・」<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
自分の掠れた声で目が覚め、ふと、柚月は目を開けた。<br />
目の前でりんの細い肩が、ゆっくりと規則正しく上下している。<br />
<br />
（・・・・ここ、は・・・）<br />
<br />
りんの奥には年老いた巫女の楓、そして、もう一人の若い巫女かごめの寝姿が見える。<br />
見上げると、見知らぬ粗末な天井が見えた。・・・・・寒い。<br />
先ほどから、冷たい隙間風が絶え間無く入ってきているのだろう。<br />
浅い眠りに落ちていた柚月の肩を冷やしている。　思わずぶるっと全身が震えた。<br />
<br />
「・・・・・・あ・・・」<br />
<br />
そうか・・・・、と、柚月は震えながら細く息を吐く。<br />
<br />
（ここは人里なんだわ・・・）<br />
<br />
柚月は、薄い布団をもう一度肩まで引き上げた。　ぎゅっと目を閉じて、深呼吸をする。<br />
そして、暗闇の中でそっと薄紫色の目を開けると、目の前のりんの様子を注意深く観察した。<br />
<br />
（・・・私は、りんさまのお体が心配で、ここまで一緒に来たんだわ・・・）<br />
<br />
りんが身につけている寝間着は、けして寒さを感じない、妖の毛で織った特別な着物だ。　<br />
寒さで風邪をひいたりすることはないだろう。　とはいえ、大切な御子を宿した体に、油断は禁物だ。<br />
柚月は、暗闇の中で額にある三つ目を開き、りんをじっくり見る。・・・どこにも黒い病魔の陰はない。<br />
繰り返される規則正しいりんの呼吸に耳をすまし、異常が無いことを確認して、柚月はやっと布団の中でほっと一息ついた。<br />
<br />
楓もかごめも、りんの奥で健やかな寝息をたてている。<br />
みな、深い眠りに落ちているようだった。<br />
<br />
<br />
<br />
・・・・それにしても。<br />
<br />
（・・・・・・・あんな、昔の夢をみるなんて・・・）<br />
<br />
柚月はまだ落ち着かない鼓動を押さえるように、胸にそっと手を当てる。 ・・・すっかり、目が冴えてしまった。<br />
<br />
・・・・幼い頃の、夢。<br />
・・・・・もう、あの頃から一体どれだけ時が経ったのだろう。<br />
<br />
あれはまだ、父さまと母さまが生きていた頃のこと。<br />
わたしたち兄妹がまだ、十を越えるか越えぬかの頃のこと。<br />
<br />
幼かった柚月は、流行病でひどい熱を出したことがある。<br />
あれは今考えれば、単なる風邪だったのだろう、と医師の柚月は思う。<br />
目に見えない移り病・・・風邪ばかりは、どんなに優れた医師でも、予防はできても感染を完全に防ぐことはできない。<br />
両親は優れた医師だったが、その年は事前の予防もむなしく、珍しく里の中で風邪が流行った。<br />
<br />
家族の中で唯一、柚月だけが里の者たちと一緒に罹患した。<br />
あんなに高い熱を出したのは初めてで、幼い柚月はあまりの苦しさにぽろぽろと泣いた。<br />
ただただ心細くて、母さまの胸の中に、ずっとしがみついていたかった。<br />
<br />
―――― 母さまは、優れた医師だった。<br />
里の者たちに治療を施さねばならない中で、自分の子供だけを特別扱いするわけにはいかない立場だ。<br />
柚月だけがわがままを言って、母の胸を占領するわけにはいかない。<br />
幼い柚月にもそれはちゃんと分かっていたが、この時ばかりは本当に辛くて寂しかった。<br />
<br />
体がずきずきと痛くて、動けない。<br />
苦しくて、喉が痛くて、心細くて、ぽろぽろと涙ばかりがこぼれる。<br />
<br />
・・・・・せめて誰かに、ずっと手を握っていて欲しかった。<br />
<br />
「・・・・・一人にしないで」<br />
<br />
泣きながら、そばで看病してくれていた兄さまにそう言った。<br />
<br />
「お願い、一人にしないで」<br />
<br />
<br />
柚月の気持ちは兄に伝わったのだろう。<br />
手を握ってくれるだけではなく、詠月はするりと柚月の布団に滑り込むと、ぎゅっと柚月を抱きしめて、ずっと背中を<br />
さすっていてくれた。<br />
<br />
不思議と、詠月が触れているところから、痛みが和らいでいくような気がした。<br />
<br />
「・・・詠月、柚月は大丈夫？」<br />
<br />
柚月がうとうととして眠りに落ちそうになったとき、部屋の外から母の優しい声が聞こえた。<br />
やっと診察が一区切りして、娘の容態を見に来てくれたのだろう。<br />
部屋の扉が開く音がして、すぐに、頭上で驚いた声がした。<br />
<br />
「まあ、詠月。　そんなことをしたら、おまえにも風邪がうつってしまいますよ」<br />
<br />
その言葉を聞いて、幼ない柚月は思わず目を見開いた。<br />
<br />
――― そうだ。<br />
自分がが罹っているのは、移り病だ。<br />
空気を介して、この病は伝わってゆく。　本当は、同じ部屋の中にいるのも危険なのだ。<br />
それなのに、兄さまは柚月の布団の中に入って、柚月を眠らせようとしてくれている。<br />
咳がひどくならないように、ずっと背をさすってくれている。<br />
<br />
「兄、さ・・・」<br />
<br />
柚月は、思わず詠月から離れようともがいた。<br />
<br />
兄さまも、こんな苦しい思いをしなくてはいけないなんて、そんなの嫌 ――――― 。<br />
<br />
けれど、熱で力を奪われた四肢には詠月を突っぱねるほどの力は無い。<br />
力無く兄の顔を見上げると、詠月は柚月をみて、深い紫色の瞳を細めて微笑んだ。<br />
<br />
「 ・・・・いいんだよ、柚月。 こんな病、早く俺にうつして、柚月は楽になりな 」<br />
<br />
「・・・・兄、さま・・・そんなの、やだ・・・」<br />
<br />
<br />
――――&nbsp; ぽろぽろ、ぽろぽろ。<br />
<br />
<br />
あの時、柚月の目からは、信じられないくらいにたくさんの涙が落ちた。<br />
自分の涙が、詠月の着物に吸い込まれて、たくさんの染みをつくった。<br />
その染みの模様すら覚えているほどに、あの時のことは柚月の中で鮮明な記憶として残っている。<br />
<br />
「・・・・まったく、困った子供たちねぇ・・・ 」<br />
<br />
呆れたような優しい母の声も、その後に飲んだ、苦い苦い煎じ薬の味も。<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
柚月は、長く震える息を吐いて、目を閉じた。<br />
<br />
（・・・・・私、あの頃から、本当に何も変わってない・・・・）<br />
<br />
あれから、もうどれだけの月日が流れただろう。<br />
両親が亡くなって、もう２００年近くたつというのに、未だに柚月は、一人では眠れない。<br />
・・・兄さまの側でないと、眠れない。<br />
<br />
（―――― だめね、本当に・・・）<br />
<br />
柚月はそっと寝床から抜け出した。<br />
たぶん、このまま横になっていても眠れないだろう。<br />
朝までは、まだまだ長い。<br />
外へ出て、少し散歩でもすれば気持ちが落ち着いて、少しだけでも眠れるかもしれなかった。<br />
<br />
外は、小屋の中よりずっと冷える。<br />
柚月は自分の荷物の中から猫又の毛を編み込んだ特殊な暖かい肩掛けをそっと引っ張り出すとそれを羽織り、<br />
足音を立てないように小屋から滑り出た。<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
浅い春の夜空は凍るように澄み切って、星が眩しいほどに煌めいている。<br />
小さなため息をつくと、吐いた息は月夜の下で白い筋になり、ゆらゆらと揺らいで消えていく。<br />
<br />
妖の力を編み込んだ肩掛けを羽織っていれば、寒くはない。<br />
柚月は里の川のそばを、ゆっくりと歩く。<br />
二日間で、もうおおかたこの里の地理は頭に入っている。迷うことはない。<br />
それに、夜歩きをしても、この里が危ないことはないだろう。<br />
少し離れたところで殺生丸さまが、りんさまの為に、この里を見張ってくれているはずだ。<br />
妖も盗賊も、入り込む隙はないだろう。<br />
<br />
川の側にも、ぽつりぽつりと、小さな家が立ち並んでいる。<br />
どれも、楓の家とほとんど変わらない、粗末なものだ。<br />
<br />
「・・・・それにしても」<br />
<br />
少し離れたところまで歩き、振り返って楓の家を眺めると、柚月は改めてため息をついた。<br />
小さな、小さな、老いた巫女の住む家。<br />
あそこに、りんさまはついこの間まで住んでいたのだ。<br />
りんさまがお里返りをなさったので、昨日今日と、かごめさまもいらっしゃって寝食を共にしているが、普段は、<br />
楓さまがお一人でこの家に住まわれているという。<br />
<br />
「・・・・・りんさまが出て行かれて、楓さまはさぞ、お寂しいでしょうね・・・」<br />
<br />
思わず、柚月はそう呟く。<br />
<br />
ここの人たちは、皆、優しい。<br />
楓さま、かごめさまに、珊瑚さま。犬夜叉さまに、弥勒さま。そして、弥勒さまと珊瑚さまのお子たち。<br />
小さな小狐妖怪の七宝ちゃんに、雲母ちゃん。<br />
柚月は初めて人里に足を踏み入れることにかなり緊張していたが、彼らが持つ妖への理解と優しさに、ずいぶんと<br />
救われた。<br />
<br />
彼らは、りんさまのお里帰りを心から喜んでくれた。<br />
ここ二日は、本当ににぎやかだった。<br />
柚月も彼らとたくさん、色んな話をした。<br />
邪見さまはさんざん憎まれ口を叩いていたが、なんだかんだ言いながら、彼らの中に混ざって楽しそうにしていた。<br />
<br />
邪見さまは殺生丸さまと共に、数年に渡って何度もこの人里へ足を運ばれたのだという。<br />
<br />
「人里でも生きていけるようにって、殺生丸さまがそう言って、小さかったりんを人里に戻してくれたんだよ。<br />
&nbsp;&nbsp;・・・・どちらでも選べるように、って」<br />
<br />
当初、柚月にはその話が信じられなかった。<br />
殺生丸さまほどの大妖怪が、わざわざ己の手から、何より大切にしているものを手放すはずがない、と。<br />
大切ならば、殺生丸さまが己の手でりんさまを守るのが一番安全なはずだ。<br />
それに、人里に戻せば、りんさまは人間たちと生きていく道を選ばれるかもしれないではないか。<br />
愛する者が己から離れていってしまうかもしれないような選択肢を、どうしてわざわざ与えたのだろうか、と。<br />
<br />
確かに、人と妖は生きる長さも時間も、住む世界さえ全く違う。<br />
それは、妖と人間が暮らす里に住む柚月は、十分すぎるほどによく知っている。<br />
けれど、・・・けれど。<br />
<br />
大切な人と一緒にいたいと思うのは、人も妖も同じはずだ。<br />
それなのに、人間であるりんさまが人間として幸せであれるように、その可能性のために、あえて妖であるご自分が<br />
身を引いたのだとしたら。<br />
<br />
「 りんのところにはね、一ヶ月に一度だけ、満月の日にだけ、会いに来てくれたの 」<br />
<br />
一ヶ月に、たった一度。<br />
そのわずかな逢瀬を、殺生丸さまは何年も続けられたのだと聞いたとき、柚月は胸が苦しくなった。<br />
<br />
・・・・きっと。<br />
・・・・・・きっと、殺生丸さまにとって真に大切なものは、りんさましかおられないのだわ・・・。<br />
<br />
そう、思った。<br />
<br />
<br />
<br />
楓さまの家には、幼い頃からりんさまが大切になさっていたお着物がたくさん残っていた。<br />
殺生丸さまが、人里で暮らす幼いりんさまにずっと贈り続けてきたものだという。<br />
<br />
りんさまは今回のお里帰りで、懐かしそうにそれを広げてみながら、くすくす笑われた。<br />
<br />
「・・・・持ってきて下さるのは本当に嬉しかったけど、半分以上は上等すぎて人里では着れませんでしたよね、楓さま」<br />
<br />
「そうじゃなあ、悪目立ちしてしまうほどに上等じゃったものな」<br />
<br />
呆れたように、楓さまもくすくすと笑っていた。<br />
りんさまは、大人びた表情で楓さまとかごめさまにこう仰られた。<br />
<br />
「・・・ずっと大切にしてきたものですけれど、もうこれは、お売りになって下さい。<br />
　もうりんには必要のないものですし、この着物ならきっといい値で売れます。　どうぞ、村の人に役立てて下さい」<br />
<br />
「そんな・・・だめよ、りんちゃん。　 これはりんちゃんの大切な思い出じゃない」<br />
<br />
かごめさまがそう仰ると、りんさまは本当に幸せそうに微笑まれた。<br />
<br />
「・・・・もう、いいの。　 昔は、人にあげるなんて考えられなかったけど、本当にもういいんです。<br />
　きっと・・・あの頃は、殺生丸さまがいつか来てくれなくなるんじゃないかって、ずっと不安だったの。<br />
　少しでも殺生丸さまと繋がっている証が欲しくて、貰ったものが一つでも欠けてしまうのが怖かったけど・・・」<br />
<br />
りんさまはそっとお腹を撫でて、ふわりと笑った。<br />
<br />
「・・・・たしかな絆は、もう、ここにいるもの 」<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
&nbsp;<br />
――――― &nbsp;りんさまは、どんどん変わってゆくわ・・・。<br />
<br />
柚月は、川沿いを歩きながら、そう思って白い息を吐いた。<br />
<br />
りんさまとは、知り合ってまだ一年足らずだが、それでも、りんさまの変貌には目を見張るものがあった。<br />
きっと、お心の持ちようが変わられていらっしゃるのだわ、と柚月は思う。<br />
<br />
不安げな表情で妖の里へやってこられた時は、本当に華奢な少女だと思った。<br />
けれど、殺生丸さまと一緒に暮らすようになられて、りんさまはすぐに少女から大人の女性へと表情が変わった。<br />
一晩中、殺生丸さまに愛された日の朝の表情は何ともいえない美しさで、同性である柚月ですら、思わずどきどきと<br />
してしまったものだ。　殺生丸さまの愛撫が過ぎてお熱を出されることも度々だったが、その度に、柚月はりんさまの<br />
表情にどきりとしながら、治療をした。<br />
<br />
――――― けれど、ここ数日のりんさまは、もう母の表情をしている ――― と、柚月は思う。<br />
<br />
<br />
<br />
（ ・・・私が、未だに兄さまの側でしか眠れないなんてりんさまに言ったら、きっと笑われるわね・・・・）<br />
<br />
そう思いながらも、寂しさにじわりと涙がにじんで、柚月は急いで涙をぬぐった。<br />
いつも、村の長として医師として、柚月が気丈に振る舞っていられるのは、側に兄さまがいるからなのだ。<br />
兄さまから離れて生きていくなんて、考えたこともなかった。<br />
こうやって、三日間離れて過ごすのも、考えてみれば本当に初めてのことなのだ。<br />
<br />
（・・・２００年も、生きてきたのに）<br />
<br />
結局、自分の奥底にあるのは、幼い頃に手に入れた安心感だけなのかもしれない。<br />
<br />
<br />
・・・・誰かと、夫婦（めおと）になること<br />
・・・・・・子供をつくって、家族を作ること<br />
<br />
<br />
考えたことがないわけではない。<br />
けれど、そこに兄さまの側にいる以上の安心感があるとも思えなかった。<br />
<br />
（・・・・・兄さまは、誰かと夫婦（めおと）になりたいと思ったことはないのかしら・・・）<br />
<br />
・・・もしも。<br />
・・・・もしも、兄さまがそういう相手に出会ったのだとしたら。<br />
<br />
その時、柚月は、どうしたらいいのだろう。<br />
笑って、「おめでとう、兄さま」って言えるだろうか・・・・？<br />
<br />
想像すると、じわじわとたくさんの涙が出てきて、柚月は思わずぐしぐしと肩掛けで涙を拭った。<br />
いつの間にか、里の中を一周してきてしまったらしい。<br />
柚月は、楓の家の前に立っていた。<br />
<br />
「――― だめだわ・・・まだ、眠れそうにない・・・」<br />
<br />
むしろ、かえって目が冴えてしまった。<br />
もう一周してこようかときびすを返したとき、頭上から押さえた声が聞こえた。<br />
<br />
「・・・眠れねえのか？」<br />
<br />
「――――― ！」<br />
<br />
びくりとして柚月が上を見上げると、高い木の上に赤い衣と白銀の長い髪が見えた。<br />
<br />
「・・・あなたは・・・犬夜叉さま・・・」<br />
<br />
驚いた柚月の前に、ひらりと犬夜叉が飛び降りる。<br />
ふわりふわりと、周囲を白い花びらが舞った。<br />
<br />
「―――― 今晩は花の匂いがきつくてよ。 俺も眠れねえんだ」<br />
<br />
家の中で寝ている皆を気遣ってだろうか、低い、押さえた声で犬夜叉はそう言った。<br />
犬夜叉に言われて、柚月は初めて気付いた。<br />
里の中に、多くの白い梅の花が植えられていることを。<br />
その香りが、ここに満ちていることを。<br />
<br />
「――― 白梅ですね・・・・」<br />
<br />
「ああ。　 かごめが里の奴らに植えさせたんだ。　 梅の実は体にいいからってよ 」<br />
<br />
すん、と鼻をすすりながら、犬夜叉は柚月を見下ろした。<br />
<br />
「散歩なら、用心棒を兼ねて付き合うぜ。 俺もどうせ、眠れねえんだ。 あんたに何かあっちゃあ、殺生丸の野郎に殺され<br />
　かねねえし」<br />
<br />
「まあ、そんな・・・！」<br />
<br />
申し訳ないですわ、と言おうとした柚月に、犬夜叉は慌てて声を落とすようにしーっと口に手を当てた。<br />
柚月も、慌てて手で口をふさぐ。　よく寝ている皆を起こすのだけは、避けねばならない。<br />
<br />
「おら、行くぞ」<br />
<br />
そう言って、犬夜叉はすたすたと歩いて行ってしまう。<br />
柚月は、慌てて後を追いかけた。<br />
<br />
（・・・・不思議な人）<br />
<br />
柚月は、犬夜叉を見てそう思う。<br />
殺生丸さまの弟君だというが、全くもって似ていない。<br />
そもそも、どうしてあんな木の上にいたんだろう。<br />
犬夜叉さまとかごめさまの家は、ちゃんと別にあるはずなのに。<br />
<br />
「・・・・あの」<br />
<br />
しばらく歩いて、柚月は犬夜叉を見上げて聞いてみた。<br />
<br />
「・・・・どうして、あんな所にいらっしゃったのです？ もしかして、見張りをしてくださっていたのですか？」<br />
<br />
見張りをしなくてはならないほど、この里の治安は悪くない。<br />
犬夜叉さまは近くに殺生丸さまがいらっしゃることに気付いていたはずだし、近くの森には阿吽も邪見さまもいる。<br />
邪見さまが頼りになるかならないかはさておき、呼べば、すぐにきてくれるはずだ。<br />
<br />
「・・・・別に、あんたらのために見張りについてたわけじゃねえ。　 俺は、かごめの匂いのするところじゃねえと、<br />
　落ち着いて眠れねえんだよ」<br />
<br />
「・・・・え？」<br />
<br />
柚月は、思わず立ち止まる。<br />
<br />
「・・・それで、あの木の上にいらっしゃったのですか？」<br />
<br />
「ああ」<br />
<br />
犬夜叉は、赤くなった鼻をこすりながら、ずび、と鼻をすすった。<br />
<br />
「今晩は、花の匂いでぜんぜんかごめの匂いがしねえ。 いつもなら、家の中にいても外から分かるんだけどな」<br />
<br />
「・・・・それで、眠れずに起きていらっしゃったんですか・・・？」<br />
<br />
「ああ、落ち着かねえんだよなあ・・・」<br />
<br />
恥ずかしがることもなく、当然のように犬夜叉はうなずいた。<br />
昔では考えられなかった犬夜叉の変化がそこにはあったのだが、以前を知らない柚月には、それは分からない。<br />
<br />
「・・・・・皆、そうなのでしょうか」<br />
<br />
「・・・あ？」<br />
<br />
「皆、安心できる匂いの側でなければ、眠れないのでしょうか・・・？」<br />
<br />
「・・・・」<br />
<br />
妙に真剣な表情をしてそう尋ねる柚月を見て、犬夜叉は少し考える。<br />
耳をピョコピョコと動かしながら、手でがしがしと頭をかいた。<br />
<br />
「よく分からねえけどよ。 俺、昔はそんなことなかったぜ。 安全だと思えれば、どこでも寝れたしな。　逆に、誰かと<br />
　一緒じゃなきゃ眠れないなんて、昔じゃ考えられねえっつーか。 　・・・そうだよなぁ、こんなんなっちまったのは<br />
　いつからだ？ 　不便だよなあ・・・ 」<br />
<br />
言いながら、犬夜叉は真剣に考え込んでしまった。<br />
その仕草に、思わず柚月はくすりと笑ってしまった。<br />
本当に、殺生丸さまとはご兄弟なのに、驚くほどに似ていない。<br />
殺生丸さまがこんなふうにくだけた話をされているところなど、想像すらできない。<br />
柚月はにっこりと笑って犬夜叉を見上げた。<br />
<br />
「・・・きっと、犬夜叉さまは、かごめさまをとても大切に想っていらっしゃるのですね。 　だから、離れると心配で、<br />
　眠れないんですわ」<br />
<br />
そう言われて、犬夜叉はかすかに赤くなった。<br />
<br />
「・・・・・・・それって、変か？」<br />
<br />
柚月は、くすくすと笑う。<br />
きっと、このお二人は幸せなのだろうと、そう思う。<br />
<br />
「・・・・いえ、ちっとも変ではありませんわ」<br />
&nbsp;<br />
<br />
薄紫の瞳で、春の夜空を見上げる。<br />
<br />
―――― 大切だからこそ、離れていると不安で。<br />
<br />
皆、そういうものなのかもしれない。<br />
&nbsp;<br />
里に帰ったら、兄さまにお願いしてみようかな、と柚月は思った。<br />
幼い頃のように、「お願い、眠るまで手を繋いでいて」・・・と。<br />
兄さまは優しいから、きっと呆れたように笑って、私の願いを聞いてくれるだろう。<br />
幼い頃のように、布団に滑り込んできて背をさすってくれたらいいのに、と柚月は思った。<br />
きっと、柚月は一瞬で眠りにつけるだろう。<br />
<br />
夢でみた兄さまの優しい笑顔を思い出すと、なぜか胸が少しだけ苦しくなって、涙が滲んだ。<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
（・・・・はやく、兄さまに会いたい・・・）<br />
<br />
<br />
&nbsp;<br />
ふわりふわりと、白梅の花びらが二人の周りを舞った。<br />
医王庵の庭の紅梅も、きっと今が見頃だろう。<br />
<br />
<br />
「・・・・そろそろ、戻るか？」<br />
<br />
<br />
犬夜叉が淡い春の月を見上げてそう言い、柚月はわずかに滲んだ涙をぬぐって、ええ、と頷いた。<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
春浅し、恋・・・・柚月・・・・<br />
&nbsp;<br />
]]></content:encoded>
		<dc:subject>小説</dc:subject>
		<dc:date>2011-12-24T01:11:18+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
	</item>
	<item rdf:about="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/292/">
		<link>http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/292/</link>
		<title>春浅し、恋　・・・・詠月・・・・</title>
		<description>&amp;amp;nbsp;
&amp;amp;nbsp;
&amp;amp;nbsp;
妖の里に、初春を告げる伸びやかな鶯の鳴き声が響いている。
&amp;amp;nbsp;
&amp;amp;nbsp;
&amp;amp;nbsp;
詠月は薬の調合を書き留めていた筆を止めて、深い紫色の目を閉じ、耳をすます。
&amp;amp;nbsp;
&amp;amp;nbsp;
「 ・・・・うぐいすの 鳴きつる声...</description>
		<content:encoded><![CDATA[&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
妖の里に、初春を告げる伸びやかな鶯の鳴き声が響いている。<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
詠月は薬の調合を書き留めていた筆を止めて、深い紫色の目を閉じ、耳をすます。<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
「 ・・・・うぐいすの 鳴きつる声にさそはれて 花のもとにぞ 我は来にける・・・か」<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
父親の形見である古い書物にあった歌を呟いて、ゆっくりと目をあけた。<br />
診療所の窓から見事に咲いた庭の紅梅の木を見上げると、眩しそうに目を細めて花を眺める。<br />
&nbsp;<br />
「・・・庭に咲いた花を愛でてやるのも、主の勤め、か 」<br />
&nbsp;<br />
詠月は、ふう、と一息つくと筆を置き、ぐぐっと背伸びをして一つ、あくびをした。<br />
&nbsp;<br />
昼間の明るい光を入れるために、文机の側の窓は天気のいい日は開け放っている。<br />
外からは、上品な紅梅の薫りがほのかに漂ってくる。<br />
まだ肌寒い、浅い春の光の中で、庭に降り立った鶯がもう一つ伸びやかな鳴き声をあげた。<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
ほ―― う　ほけきょ<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
三つ目の医師は、いかにもくつろいだふうに猫背で文机に頬杖をつき、見事な鳴き真似で、鶯の鳴き声を真似た。<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
ほ―――― う　ほけきょ<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
動物の鳴き真似は、医師の仕事以外に詠月が持つ、数少ない特技でもある。<br />
庭の鶯は、どこに声の主がいるのかとあたりをきょろきょろ見渡し、首を傾げる。 その様子が可愛らしくて、<br />
詠月はくすくすと笑った。<br />
&nbsp;<br />
「 なあ柚月、見てごらん。 鶯が来ているよ。 稗か粟か、蒔いてあげようか」<br />
&nbsp;<br />
そう言った詠月の背後は、しん、としている。<br />
いつもなら柚月が、詠月のこういう一言を聞き漏らさず、「 もう春ですわねえ、兄さま 」と言いながら、<br />
餌を準備してくれる。<br />
詠月も柚月も、この医王庵の庭にやってくる鳥や動物が大好きなのだ。<br />
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詠月は、しんとした背後に、あれ？と思ったのちに、ああ、と気が付いて立ち上がった。<br />
庭に蒔くエサは、己で水屋まで取りに行かねばならなかった。<br />
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柚月は今、殺生丸さまの愛妻、りんさまのお里帰りに付き添って、人里へ赴いているのだ。<br />
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りんさまはお腹に御子を宿されて、先日ようやく半年を過ぎられた。<br />
初めての御子ということもあり、詠月と柚月はかなり気を張って様子を伺っていたが、安定期に入ってからは、<br />
激しかった悪阻からも徐々に抜け出され、今月からはずいぶんと食欲も回復された。<br />
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一般的にその時期に、人間の女たちは皆、産土神のもとへ参じ、安産の願立てをするらしい。<br />
りんさまもその習慣にならい、殺生丸さまにお里帰りの願いを申し出られた。<br />
どうしても育ての親ともいうべき巫女さまにお祓いをしてもらいたいのだ、と。<br />
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この妖の里では、母親が子を身ごもる長さや産屋は、その者によってまちまちだ。<br />
人が河童の子を身ごもれば、産屋は川の浅瀬ということになるし、カラス天狗の子を身ごもれば、生むのは<br />
赤子であったり卵であったりする。<br />
母親は生まれてくる子供に合わせて準備をせねばならず、だから人里のように、判を押したように皆が等しく、<br />
戌の日に産土神に参じて安産を祈願するような習慣はない。<br />
だが、人里で育ったりんさまは、この安産祈願をしていないことを、ずいぶんと気にかけておられた。<br />
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小梅と小竹の話によれば、殺生丸さまは当初、りんさまのお里帰りにはあまり気乗りされてはおられなかったらしい。　<br />
・・・とはいえ、殺生丸さまがりんさまのたっての願いを無視されるはずがない。<br />
結局、邪見殿と柚月が人里まで同行することを条件に、殺生丸さまは三日間のお里帰りをお許しになられた。<br />
道中の安全を考えて、先日賜った殺生丸さまのお母君の衣を纏い、人里近くまで殺生丸さまもご一緒されるとの<br />
ことだから、まあ、安全面はほぼ問題ないと思っていいだろう。<br />
邪見殿はずいぶんと愚痴をこぼしておられたが、お子を身籠られてからは殺生丸さまはより一層、りんさまに<br />
甘くなられたのだそうだ。<br />
<br />
<br />
（ むしろ、心配なのはりんさまよりも、柚月の方なんだよな・・・）<br />
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そう思いながら、詠月は裸足で、診療所の中を歩いていく。<br />
庭の陽の届かない屋内は、まだまだ、冬の空気が残っている。<br />
柚月がいない医王庵は、いつもよりずっと冷え冷えとして、しん、としていた。<br />
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里の者たちも、柚月がりんさまのお里帰りに付き添っていることは知っている。<br />
昨日今日と、ずいぶんやってくる患者が少なかった。　普段、たいした怪我でも病気でもないのにやってきては<br />
世間話をしていく老妖たちも、少しは遠慮しているのだろう。<br />
この狭い庵もずいぶん広く感じる、と詠月は苦笑した。<br />
明日、柚月が帰ってきたら、きっとまた大勢の老妖たちが押し寄せることだろう。<br />
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ひんやりとした水屋に入り、年季の入った桐箱をぱかりと開けると、手を差し込んで、ほんの少しだけ穀物を握る。<br />
この桐箱から、米や麦、粟や稗などの穀物が無くなったことはない。<br />
詠月や柚月に助けられた人間や妖たちが、皆、この医王庵に礼のつもりで置いていくのだ。<br />
長い兄妹二人暮らしの中で、飯を炊くのはいつも柚月の役目で、彼女はいつも二人で食べる量の３倍は飯を炊く。<br />
二人が食べる分以外は、握り飯にして病気の妖に持って行ってやるのだ。<br />
握り飯には年神の霊力が宿っているから、弱った妖や精霊たちにはまたとない力の源となる。<br />
詠月は、里にいる患者の数を数えながら握り飯を握っているときの柚月の優しい表情が、一番好きだ。<br />
たった三日といえども柚月と離れて暮らすのは初めてで、詠月は妹のいない医王庵を見渡して、小さなため息をついた。<br />
<br />
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「・・・おまえがいないと、やはり寂しいのかな、俺も 」<br />
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この空間が広く感じられるのも、空気が冷え冷えとしているのも、きっと気のせいではない。<br />
それだけ、柚月という存在が、詠月にとって大きかったということなのだろう。<br />
<br />
ふと、はるか昔に他界した父と母の顔が浮かんだ。<br />
誰よりも、何よりも一番に患者のことを考えて日々を送っていた、心やさしい両親。<br />
<br />
父は人間でありながら、妖であった母と共に生きるために、人里での生活を捨てたのだという。<br />
それでも、詠月の知る父はいつも幸せそうな顔をしていた。<br />
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「・・・・・人里、か。　どんな里なのだろうな 」<br />
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ぽそりと一人ごちながら庭側の部屋まで戻り、窓からぱらぱらと穀物を蒔いてやる。<br />
梅の木の枝にとまっている鶯は用心深く詠月の様子を伺っていたが、しばらくすると庭の土の上に降りたって、<br />
穀物をついばみ始めた。　くすんだ淡い緑色のふっくらとした体が、とても可愛らしい。<br />
<br />
詠月は再び文机の前に猫背で座ると、稗をついばむ鶯を頬杖をついて眺め、二日前の旅立ちを思い返した。<br />
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「・・・・こんな衣裳みたら、楓さまびっくりしちゃうだろうなぁ・・・。村の人も、腰抜かしちゃうよ」<br />
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ため息をつきながら自分に着せられた衣装を見下ろしているりんさまに、柚月はキリリと表情を引き締めて、<br />
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「 何を仰います、りんさま。　りんさまは殺生丸さまの奥方さまなのでございますよ。　堂々としていて下さいませ」<br />
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などと、かなり緊張した面もちで申し上げていた。<br />
兄の詠月からみても妹の柚月はしっかり者なのだが、さすがに旅立ちの前夜は緊張で眠れなかったらしい。<br />
綺麗な薄紫色の瞳の下には、うっすらとクマが出来ていた。<br />
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この里には、闘牙王さまが作られた複雑な結界が張ってある。<br />
結界を自由に越えられるのは、詠月と柚月だけだ。<br />
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けれど、この里から詠月と柚月が一緒に出るのは、決まって年に一度だけだ。<br />
里で作られる妖の薬を、御母堂さまの元まで納めにいくときだけ。<br />
しかもその時は、天空の宮からわざわざ迎えの妖獣がやってくる。<br />
それに乗っていれば自然と天空の宮まで着くわけで、行きも帰りもどこかに立ち寄ったりすることはない。<br />
つまるところ、詠月も柚月も生まれてこのかた、この里から出て人里へ入ったことがないのである。<br />
２００年もそういう生活をしていると、人間だけが暮らす里、というだけで二人にとっては完全に異世界だ。<br />
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人里に住む人間は、皆、髪も瞳も黒い。　・・・・もちろん、目は顔に二つしかない。<br />
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幼い頃、父親から、人間にはそれが当たり前なのだよ、と聞いたときには詠月も柚月も正直驚いた。<br />
生まれたときから妖怪たちに囲まれて育った二人の兄妹には、里の住人が皆、同じ容貌をしているということのほうが<br />
不思議に感じたものだ。<br />
たまにこの妖の里にも救いを求める人間はやってくるが、皆、この里の住人を見て、一様に最初は恐怖の表情を示す。　<br />
内情が分かってくればむやみに妖を怖がることもなくなるけれど、それだけ、人間にとってはこの里に住む妖怪や半妖は<br />
恐ろしいということなのだろう。<br />
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――――― 子供を産む前に、一度、里帰りをしたいの。<br />
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りんさまから、そう打ち明けられた時に、柚月は迷わず己も一緒に人里へ赴くことを決めた。<br />
柚月は、りんさまの御典医のようなものだ。 妊娠が分かって以来りんさまの御体には人一倍気を使っていたし、<br />
里に残ったところで気が気ではないだろう。<br />
柚月の性格から考えれば、当然の選択といえる。<br />
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だが、旅立ちの日が近づいてくると、柚月は誰もいないところで一人でこっそりとため息をつくことが増えた。<br />
人里には、妖はいない。　もちろん、目が三つもある人間もいない。<br />
きっと、不安だったに違いないのだ。　<br />
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・・・・柚月の銀鼠色に近い髪の色と、薄い紫色の三つ目は、さぞかし人間だけの里では目立つことだろう。<br />
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詠月は、ため息をつく。<br />
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「 我らは、半妖・・・・か 」<br />
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りんさまは、人里での暮らしを我らに色々と教えてくれた。<br />
人間だけの暮らしをしていると、妖怪はとても目立つ、ということ。<br />
人間は、妖怪を恐れている、ということ。<br />
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「 妖怪を怖がらないりんは、人里では変わり者だったんだよ 」<br />
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りんさまは、懐かしそうに笑いながらそう仰られた。<br />
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「 でもね、楓さまの里はちょっと特別だったと思うんだ。　 りんのそばには半妖の犬夜叉さまもいたし、犬夜叉さまと<br />
　夫婦（めおと）になられたかごめさまもいたし、あの里の人たちは、他の里の人ほど妖怪を怖がってはいなかったような<br />
　気がするの。　悪い妖怪は、弥勒さまや犬夜叉さまが倒してくれるから安心だし。　・・・だから、殺生丸さまみたいな<br />
　大妖怪がりんに会いに来ても、きっと、見て見ぬふりをしてくれてたんだと思うの。　他の人里だったら、りんは妖怪に<br />
　憑かれた危ない子だって言われて、きっと里から追い出されてたと思うなぁ。　　・・・・人は皆、妖怪が怖いの。<br />
　りんには、妖怪よりも夜盗のほうがよっぽど怖かったけどね」<br />
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「まあ・・・。　では、りんさまのお里は本当に特別だったのですね」<br />
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りんさまの言葉を聞いて、柚月は少しだけほっとしているように、詠月には見えた。<br />
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「 赤ちゃんを産む前に、神様にちゃんとお参りしておきたいっていうのもあるんだけど、今度のお里帰りで、楓さまや<br />
　犬夜叉さまやかごめさま、弥勒さまに珊瑚さま・・・・・・皆に、ちゃんと伝えたいの。　りんは、元気にしてますって。<br />
　心配はいらないよって　」<br />
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「・・・・りんさまにとって、人里の方々はどういう方たちなのですか？」<br />
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柚月がそう問うと、りんさまはにっこりと笑ってこう仰った。<br />
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「 んとね、りんのことをよく分かってくれてる、とっても大切な人たち・・・かな。　きっと、心配してると思うんだ 」<br />
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「・・・・私も、おまえが心配だよ、柚月 」<br />
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稗をついばむ鶯を見ながら、詠月は一人窓際でぽそりとそう呟く。<br />
医王庵の中で、毎日当たり前のように自分に寄り添ってくれていた柚月。<br />
妹だから、この里を作った両親を見て育ったから、だから当たり前に私のそばにいてくれたのだろうか。<br />
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「 ・・・・お前がいないここは、静かだ」<br />
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柚月ひとりがいないだけで、この庵はこんなに静かで、冷たい。<br />
２００年も一緒にいたのに、そんなことにすら気がつかなかった。<br />
いや、いつも一緒にいてくれたからこそ、気がつかなかったんだろう。<br />
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「 ・・・・柚月も、りんさまのように好きな妖ができたら、ここから出ていくのかな」<br />
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ありえないことではない。<br />
両親だって、そうやって出会ったのだ。<br />
父は母に出会って、人里での暮らしを捨てた。<br />
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相手が妖とも限らない。<br />
もしかしたら今赴いている人里で、人間と、そういう出会いがあるのかもしれない。<br />
心を動かされる出会いなんて、いつ、どこにあるか分からないものだ。<br />
もしも・・・・本当にもしも、柚月がそういう相手と出会ったなら。<br />
共に生きていきたいのだと、そう願うのだとしたら。<br />
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詠月は、そのときは笑って、兄として妹の幸せを祈ってやらねばならないのだろう。<br />
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そう思うと、心の中にとてつもなく大きな穴が開いたように感じた。<br />
生きたまま、片腕をもがれるような痛み。<br />
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「・・・・・・柚月」<br />
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ふわり、ふわりと、梅の花びらが窓際に舞いおちた。<br />
柔らかで上品な梅花の香りが、鼻腔をくすぐる。<br />
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・・・・どうしてだろう。<br />
・・・・・・切ないくらいに、胸が痛い。<br />
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詠月は眉を寄せて、そっと紫色の瞳を伏せた。<br />
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「・・・・早く帰っておいで、柚月。 お前がいなくては、私は寂しいらしい」<br />
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庭のうぐいすは、いつの間にか春の空に飛び立ったらしい。<br />
今は遠く、その伸びやかな鳴き声を響かせていた。<br />
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春浅し、恋　・・・・詠月・・・・<br />
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<a href="http://mioyanoko.ichi-matsu.net/Entry/144/">詠月と柚月（イラスト）</a><br />
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		<dc:subject>小説</dc:subject>
		<dc:date>2011-12-17T20:20:04+09:00</dc:date>
		<dc:creator>愛美</dc:creator>
		<dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
		<dc:rights>愛美</dc:rights>
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