殺りん話を、とりとめもなく・・・ こちらは『犬夜叉』に登場する 殺生丸とりんを扱う非公式FANサイトです。
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殺生丸さまご一行が、夕餉を向かえたときの、ひととき。
母上の城から帰ってきた頃でしょうかね・・・。
琥珀目線です。
夕餉のひととき
ぱちぱち、と木のはぜる音がした。
りんの集めてきた木の葉が小枝と共に勢いよく燃えていく。
琥珀は手際よく小枝から作った串を鮎に刺した。
夏の終わり、丸々と太って脂ののった落ち鮎はさぞかし旨いだろう。
りんと邪見と、三人で捕った鮎。
両の手のひらに収まらない大きさの鮎を16匹も捕った。
今夜はこれで腹一杯になるだろう。
あとは、りんが暖かい白湯が飲めるように竹を切ってきてやろう。
焚き火の近くで水を入れて地面に刺しておくと、湯が沸く。
退治屋の里にいた頃は、大人は酒を入れて竹酒を楽しんでいたものだ。
琥珀は立ち上がり、そばに流れる小川で手をゆすいだ。
水が冷たく、すぐに秋がくることを思い出させる。
「いつまで・・・」
殺生丸と共にいくことを決めて、
りんと邪見と阿吽との道行きは思った以上に楽しかった。
この一行は殺生丸を中心にしているが、
必然、道行きすがら狩りや食材の調達があったり、
少なからずりんの行動に付き合うことになる。
育ち盛りの子供(琥珀もそうだが)と過ごしていると、
もう長い間忘れていた感覚が、自分の中に戻ってくるのが分かった。
今日は、鮎が捕れて大喜びしているりんにつられて笑っていた。
ぼたぼたに濡れそぼった邪見がくしゃみをしているのを見て、
またりんと共に笑った。
心の中の、欠けた部分が優しく修復されていく。
でも、いつまで、一緒にいられるだろう・・・?
そんな資格、本当は俺にはない。
「琥珀?どしたの?」
小川の中で手を浸したまま物思いに沈んでいた俺に、りんが声を掛けた。
りんは山で見つけたしめじ茸を串に刺している。
「なんでもないよ」
俺は笑顔で答えた。
「竹を切ってきてやるよ。暖かい白湯、飲みたいだろ?」
邪見が適当に小枝を焚き火に放り込みながらつぶやいた。
「…酒があったらいいのになー」
「邪見様、盗みは自信がありません…」
「邪見様、欲しいなら自分で取りにいきなよー」
「や…やかましいわいっっ」
俺がまた、笑える日がくるなんて。
りんは最後の串を刺し終えると立ち上がり、
ぱたぱたと少し離れた岩に座っていた殺生丸へ駆け寄った。
「ありがとう、殺生丸さま!
鮎を捕らせてくれたおかげで、今日はごちそうなの!」
えへへ、と笑ったりんの頭に、ぽん、と殺生丸の手がのせられる。
「…そうか」
幸せそうに笑うりんの笑顔を見て、俺は竹を切りに山へ足を向けた。
殺生丸と共に旅をすることを決めた日のことを思い出す。
あのね、琥珀
殺生丸さまはね、すごーく優しいんだよ
そしてね、すごーく強いの!
だからね、きっと大丈夫だよ
殺生丸さまは、きっと奈落から琥珀を守ってくれるよ
だから、そんな悲しそうな顔しなくても大丈夫だよ
りんはね、何回も殺生丸さまに助けてもらったの
悪い人に連れ去られた時も、
妖怪に拐かされたときも、
殺生丸さまはちゃんと助けにきてくれたの
だからね、絶対に大丈夫!!
そうだな、りん。
本当に、その通りだった。
だけど、殺生丸様が優しいのは、きっとりんがいるからだ。
俺が、笑顔を取り戻したように。
そうだな。
俺にはそんな資格、ないんだ、本当は。
…でも。
少しでも、長く一緒にいれたらいい。
一緒に、いれたらいいな。
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