殺りん話を、とりとめもなく・・・ こちらは『犬夜叉』に登場する 殺生丸とりんを扱う非公式FANサイトです。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
≪ 神成りとむすめ<14> | | HOME | | 神成りとむすめ<13> ≫ |
寄り添う、二人。
種族が違っても、生きる長さが違っても、どんな違いがあっても、
二人で寄り添う暖かさは、変わらない。
月の美しい夜。
二人の住まいの縁側には、ささやかな月見の膳が用意されている。
邪見あたりが気をきかせたのだろう。
酔うほどの酒量でもない。
けれど、りんにはそれで充分だ。
ほんのりと桃色に染まった頬を、そっと愛しい妖の肩に寄せる。
「 ・・・・ねえ、殺生丸さま、知ってた?」
聞き慣れたりんの言い回しに、妖はわずかに苦笑して、答えた。
声色は、優しい。
「 ・・・・知っている 」
妖の答えに、りんは肩に頬を寄せたまま、わずかに膨れる。
「 もう・・・・! どうして言う前に分かるの? 」
いいながら、りんもすぐに笑ってしまった。
分からぬはずがない。 何度、この言葉を伝えてきただろう。
「 お前の言いそうなことくらい、分かる 」
「 ・・・・・・・・ふふ」
妖の言葉の温かさに、りんは思わず微笑んでしまう。
「 ・・・違ったか?」
「 ・・・たぶん、あってると思う 」
「 ・・・・・・そうか」
くすくす笑う声が、月夜の下の広縁に満ちる。
・・・・・何度も何度も、りんが繰り返し繰り返し言うから、妖はその先の言葉をもう覚えてしまった。
わざわざ、口に出さずともわかってしまうほどに。
「 ・・・・・りん、殺生丸さまとこうやってるのが、いちばん、しあわせなの 」
妖はわずかに目を細めて、微笑んだ。
月の女神が見とれそうなほどの、美しい白皙で、いつもの言葉を口にする。
「 ・・・・知っている 」
ただ寄り添うだけで、これほどまでに。
≪ 神成りとむすめ<14> | | HOME | | 神成りとむすめ<13> ≫ |