殺りん話を、とりとめもなく・・・ こちらは『犬夜叉』に登場する 殺生丸とりんを扱う非公式FANサイトです。
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お昼寝をしたせいで、寝付けないりんちゃん。
りんちゃん目線×殺生丸
幼い想い
りんは、いつも殺生丸さまの後ろに付いていく。
阿吽に乗ったり、歩いたり、時には殺生丸さまの白尾に掴まって。
今日の殺生丸さまはお日様の光でキラキラして、とっても綺麗。
銀色の髪と、金色の目。
りんは、妖怪は怖いもので鬼みたいなのしか、いないと思ってたんだ。
あの森で、初めて殺生丸さまに会ったときも、あまりに綺麗でびっくりした。
殺生丸さまは血で汚れてたけど、木漏れ日の中できらきらしてた。
今も、殺生丸さまは木漏れ日の中できらきらしてる。
細い銀色の髪の毛に、いつか触ってみたいなぁ。
きっと、すごく気持ちいいんだろうなぁ。
たまに、じーっと見つめてると、
「なんだ」
って、こっちを見てくれることもあるんだよ。
でもね、そうするとりんが邪見様から怒られちゃうの。
殺生丸さまは奈落との戦いに神経を集中されておられるのだ!!
邪魔をするでない!!
でも、どうしてか、その後は邪見様が怒られちゃう。
殺生丸さまは、りんには優しいんだ。
阿吽に乗って山を抜け、平地に出たら川が流れていた。
キラキラと光る水面に、大きな鮎が泳いでいるのが見える。
「あっ!鮎だー!!殺生丸さま、鮎をつかまえてもいい?!」
りんは阿吽から飛び降りると、一目散に川へ向かって走っていく。
殺生丸は目を細めてりんをながめ、振り返らずに声を掛けた。
「・・・邪見」
今日は琥珀と邪見さまと一緒に、鮎取りをした。
たくさん採れて、夕ご飯はごちそうだった。
濡れた体と着物を乾かそうと思ったら、殺生丸さまが白尾で暖めてくれて、
あんまりにも気持ちよくて、そのままお昼寝までしちゃった。
殺生丸さまがいるから、獣や妖怪に襲われることはないんだけど、
もしもの為に、邪見様は寝るときに焚き火を欠かさない。
すっかり寝入った邪見さまと琥珀を起こさないように起きあがって、
殺生丸さまのお側まで歩いていく。
今日はお昼寝したせいで、あんまり眠くなかった。
「殺生丸さま」
殺生丸さまは目を閉じていたけど、眠ってはいない。
長いまつげを開くと、りんの方へ顔を向けた。
「殺生丸さま、今日はありがとう」
「・・・礼なら昼間も聞いた」
「うん。・・・でも、何回も言いたいの」
「・・・」
殺生丸さまの目は優しい。
天の上のお母様のお城で見た、優しいお顔。
りんは、思い出すたびに胸がほっこり暖かくなる。
りんは、近づいて殺生丸の側にぺたんと座った。
「殺生丸さまは優しいね」
「・・・」
「りん、幸せなんだぁ。
お父やお母や、兄ちゃんが死んじゃって、ずっと話せなかったでしょ?
また喋れるようになれたのも殺生丸さまのおかげだし、
狼に殺された後、生き返れたのもそうだし、
何回も危険な目にあってるのに、
必ず殺生丸さまが助けてくれてるもん。
この前も、ご母堂さまのお城で、死にかけたし・・・
りん、弱っちいから殺生丸さまに迷惑かけてるけど・・・」
「お前のせいではない」
りんは思わず殺生丸の目を見る。
深い、まっすぐな目でりんを見ていた。
「あれは、私の手落ちだ。生きて戻れたのは母上の情けだろう」
りんは思い出す。
目を開けたときに見た、殺生丸の顔を。
心配そうな、張りつめた、殺生丸の表情。
・・・見たこと無い、殺生丸さまの顔。
だから、あれはー・・・
「殺生丸様が、りんに死なないで欲しいって、思ってくれたからだよね」
「・・・」
「だから、ご母堂さまが生き返らせてくれたんでしょう?」
りんはひだまりのように笑う。
「りんは、殺生丸さまと、ずっと一緒にいたいな」
「・・・」
「りんはね、」
りんの口を塞ぐように、殺生丸の白い毛がりんをふわりとくるんだ。
くるくるとりんを取り囲んでふわりと持ち上げる、
りんがもぞもぞと何とか顔だけ出すと、目の前に銀色の長い髪の毛が見えた。
殺生丸の背中に連れてこられたらしい。
殺生丸がどんな顔をしているのか、分からなかった。
「・・・もう、寝ろ」
「・・・はぁい」
殺生丸の白尾はもこもこしていて、暖かくて、気持ちが良い。
りんは身体がほっこりして自然とまぶたが重くなる。
ああ、せっかくこんなに近くにいるのに・・・
殺生丸さまの銀色の髪、触ってみたいのになあ・・・
もう、気持ちよくて動けないよ・・・
りんはね、殺生丸さまが大好きだよ・・・
ひだまりのようなりんの匂いに包まれて、
殺生丸は目を閉じた。
幼いりんから高い体温が伝わってくる。
りんの言葉が、殺生丸の深いところに沈んでいく。
りんが己から離れることなど、考えたこともない。
初めて自覚した、愛しいものの命。
二度とあのような愚行は犯さぬ。
だが・・・・
殺生丸は閉じていた目をゆっくり開いて、うしろで寝息をたてるりんを見た。
人間と妖。
りん、お前はいつまで・・・
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