殺りん話を、とりとめもなく・・・ こちらは『犬夜叉』に登場する 殺生丸とりんを扱う非公式FANサイトです。
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りんは、蜜色の雫に、うっとりとしてしまう。
指先から垂れる蜜色の雫を、光に透かす。
深い、コクのある金色の雫は、光を含んでキラキラと揺れる。
ゆっくりと、ゆっくりと、指から落ちてくる、花の蜜。
「・・・・殺生丸さまの、瞳の色だね 」
「・・・・・・・」
大妖は、うっとりと指先についた蜜を眺めるりんを、呆れたように見ている。
先ほどから、このむすめは、夢をみるように目をとろんとさせて、蜂蜜を舐めている。
ほろりと崩れる蜜の巣を、子供のように指で崩しながら、口へ運ぶ。
指についた蜜を、何度も、何度も、光に透かしながら。
(・・・・りんが甘いものが好きなのは知っていたが・・・)
このように蜜の詰まった巣を、そのまま食べられるのは珍しいとはいえ、
今の暮らしに落ち着いて、もう数年が経つ。
人里にいた頃ならいざ知らず、今は、蜂の蜜それ自体は、珍しくはないはずだ。
そもそも、りんが望めば、食べたいものは配下の者がすぐに準備するはずだ。
このむすめには、それだけの暮らしをさせている。
殺生丸の視線に気がついたのか、りんは微笑んで、蜜に濡れた口を開いた。
「・・・・・りん、 蜜を見てると、小さな頃を思い出すの 」
「・・・・・小さい頃 ・・・?」
りんは、 ふふ、と笑った。
「 はじめて、蜂の蜜を食べた時のこと」
「・・・・?」
「 殺生丸さまがね、食べさせてくれたんだよ?」
大妖の目が、訝しげにむすめを見た。
・・・・そんなことが、あっただろうか。
「 邪見さまがね、蜂を追ってくれて、殺生丸さまが蜂の巣を落としてくれたの」
りんは、思い出したように、くすくすと笑う。
「 邪見さま、蜂に追いかけられちゃって、どんどん森の奥まで一人で逃げていっちゃったの。
りんは殺生丸さまと二人、その場に残ったんだけどね、りん、蜂の巣が怖くて、触れなかった」
りんは、つんつんと、指先で白い蜜の巣をつつく。
むすめの桃色の指先に目をやった殺生丸は、高杯<たかつき>に載せられた皿のそばに、
朱塗りの箸が置いてあるのに気がついた。
なぜ、箸を使わずに、わざわざ指で食べているのだろう。
「 まだ、蜂が出てきそうで、殺生丸さまの後ろに隠れてね、落ちてきた巣を眺めるしかできなかったの」
りんは、ほろり、と蜜の巣を崩し、人差し指と親指でつまみあげる。
とろり、と蜜がこぼれて、皿の上で線を描いた。
「 その時、殺生丸さまが、しゅっと巣を真っ二つに割って、こうやってね・・・・」
りんは蜜色の指先を、私の口元へ運ぶ。
「・・・・・食え、りん、って 」
りんの指から、金色の雫がたらりと垂れそうになって、私はしぶしぶ口をあけた。
着物に蜂蜜が垂れるのはごめんだ。
りんの指につままれた蜜の塊を、指ごと口に含む。
濃厚な蜜の香りと、脳を突き抜けるような甘さが、口の中を支配する。
私は目を閉じ、そのまま、りんの指を口の中で蹂躙する。
甘い蜜が喉を通りすぎても、指に舌を絡ませ、数度、軽く噛むと、りんの体はびくりと震えた。
「・・・・・っ」
りんの手首をつかみ、指を、一本一本、舐めあげた。 丁寧に、繰り返し、何度も。
くい、とそのまま引っ張ると、力を失った軽いりんの体は浮き上がり、ぽすりと私の前に落ちてくる。
もう片方の手首もつかみ、そのまま、そちらの指も、舐めあげる。
「・・・・・・せ、殺生、丸、さま・・・・」
ちらりとりんの顔を見上げると、蜜に濡れて喘ぐりんのくちびるが目にとまった。
桜色のそれは、つやつやと、甘い蜜で覆われている。
私はくちびるを寄せながら、触れる寸前で、口を開いた。
「・・・・・・・・・・私の指は」
「・・・・・・え・・・?」
言いかけて、私はふと笑った。
思いだしたのだ。
小さいこの娘の口の中に、甘い蜜の塊を放りこんだときのことを。
りんは目を輝かせて、私の指から、次々に蜜を食べた。
しばらくして私は、もう自分で食べられるだろう、とその場を離れようとした。
邪見の戻ってくる気配もしていた。
その時、指の先についたままの蜜に気がついた。
ベタベタしていて、己で舐める気にもなれぬ。
・・・・・・・・あの時、私の指は・・・・確か。
「・・・・幼いお前が、舐めたのだったな」
「・・・・・・ん・・・」
思いだしてくれた・・? と、そう言うと、りんは、とろんとしたまま、私のくちびるを受け入れる。
蜜で甘いりんの口の中に、私は舌を入れた。 ・・・・味わいつくすように。
---------- その口づけは、甘い、甘い、蜜色。