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あやかしとむすめ

殺りん話を、とりとめもなく・・・  こちらは『犬夜叉』に登場する 殺生丸とりんを扱う非公式FANサイトです。

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ちいさな温もりを抱いて

りんたんと邪見と琥珀の魚取りと、そばで待っている殺生丸さま。

殺生丸さま目線です




小さな温もりを抱いて

拍手[80回]



空が高く、たなびく雲は細く薄い。

りんが高い笑い声をあげて、邪見と琥珀と共に魚を採っている。
太陽の暖かな光がりんを包み、その香ばしい匂いを風が私に運ぶ。

頼りない邪見と違い、琥珀はか弱い人間らしく知恵を使い魚を捕っているらしい。
ここのところ、りんが私から離れ、食料を取りに行くことが減った。
琥珀が替わりに調達しているといったところだろう。
りんがそれで満足しているなら、何も言うことはない。

無限の時を約束されたも同然の私から見れば、
りんが魚を捕るひとときなど何でも無い。
別に待つ時間は苦でもなかったのだが。

人間は脆く弱く儚い。
あわただしく時を重ね、すぐに死んでいく。
長く老いたとて、私の時には遠く及ばぬ。

私には地上の季節など何の意味もなかったが、
りんがそばに居るようになってから少しづつ意味を持つようになった。

りんは額に汗を浮かべて川で魚を追っているが、
恐らくもう一刻もすれば涼しさで所在無さげに腕をさすることが分かる。
人間には気付かぬほどの季節の変わり目。

「ぶえーーーっくしょん!!」

邪見が水浸しになってくしゃみをしている。
一緒に笑う、琥珀とりん。

琥珀・・・・りんが居らねば、私についてくることなどなかった人間の子供。
琥珀の表情は奈落の傀儡だった頃と比べものにならないほど豊かになった。
あれも、りんの影響か。

「りんと邪見様は日が落ちる前に身体を乾かして下さい。
 僕は近くにある山菜を摘んできますから」

琥珀はそういうと、山へ分け入っていった。
ずぶ濡れの邪見が二度目のくしゃみをしている。
りんはこちらへ一目散に駆けてくる。

「せっしょうまるさまー!!!」

「殺生丸さま、ありがとう!!すごくたくさん、鮎が捕れたの!
 とっても大きいんだよ~!!」

光の中でりんは笑う。
この殺生丸にそんな顔ができるのはお前くらいのものだな。

「殺生丸さまも聞いた?邪見さまの、くしゃみ!!」

・・・聞こえぬはずがあるまい

「人間のおじいちゃんみたいなくしゃみなの!りん、おかしくて笑っちゃったよー」

りんは私のいる木陰に入ってきて、小さく身震いをした。

「わあ、なんか木陰に入ると寒いなあ、お日様があるとこは暑いくらいだったのにー」

「こりゃー!りん!風邪をひくぞっ!殺生丸さまにご迷惑をお掛けするんじゃない!!」

振り返って邪見に返事をしようとしたりんを、返事が出来ぬよう、私は白尾でくるみこんだ。
全身を包み込んで、巻き込んで、りんは口をぽかんを開けたまま私を見上げる。

「寒かったのだろう」

「殺生丸さま・・・」

「・・・暖まれ」

「・・・はい」


えへへ、とりんが笑う声が聞こえた。

邪見がなにやら涙を浮かべてこちらを見ているが無視して私は目を閉じた。
りんの食料調達の時間は短くなったのだから、
りんの身体が暖まるまで時間をとることにする。

琥珀が袋いっぱいに山菜を採って山から出てきたとき、
りんは私の白尾の中ですやすやと眠ってしまっていた。




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