あやかしとむすめ

殺りん話を、とりとめもなく・・・  こちらは『犬夜叉』に登場する 殺生丸とりんを扱う非公式FANサイトです。

なおびのみたま

「ご機嫌が直ったら渡しとくね~」

ご機嫌が直ったら・・・
ご機嫌が・・・直ったら・・・?!

いつ、どうやって、あの殺生丸さまが機嫌を直すのか・・・?
そもそも、良いときと悪いときの違いは・・・無い・・・気が・・・(汗

でも、きっと、りんちゃんなら。
いや、きっと、りんちゃんにしか。

禍(まが)を直(な)おすチカラを持った神様を、
直毘神(なおびのかみ)と、古来の人々はあがめたそうです。

殺生丸さまの心をまっすぐに直してくれるりんちゃんの魂は、
直毘御霊(なおびのみたま)かな、と。


琥珀目線です。



なおびのみたま



「ご機嫌が直ったら渡しとくね~!」



冥界から落ちてきた天生牙はりんが刀々斎から受け取り、
犬夜叉たちと別れてから、一刻が過ぎた頃。


今、天生牙はりんに抱えられて阿吽の上にある。
俺は、りんの後ろで阿吽の手綱を引いていた。

邪見様はぶつぶつと犬夜叉の文句を言っている。
「あんな半妖ごときに、殺生丸さまの技を・・・」
時々、涙目になって。


俺は、小さな声でりんに聞いた。
「なあ・・・りん」
「なあに?」
りんも、俺の小さな声に合わせてささやくように答えてくれた。
「殺生丸さま、これからどうやって戦うのかな」
「んー・・・」
りんはちら、と殺生丸様を見た。
「殺生丸さま、刀が無くても強いよ?」
「うん、そうだな・・・。でも、あの技は特に凄かったから」
「そうだねえ・・・でも・・・」
「ん?」
りんは、首を少しかしげる。
「殺生丸さまのおっとうの刀の力なんでしょ?」
「死神鬼から技を奪ったのは、確かにお父上だな」
「・・・殺生丸さまのおっとうはすごく強いひとだったんだよね?
 殺生丸さまと同じくらい、強かったんだよね?」
「そりゃ、あの天生牙と鉄砕牙を一本の牙から作りだしたんだし・・・
 すごく強かったと思うよ」
りんは、何かを思い出すように黙り込んだ。
「りん・・・?」
「あのね、殺生丸さまみたいな立派な妖怪と比べたら変なんだけど・・・」
りんは、天生牙をぎゅっと抱きしめて、俺の方を向いた。
「りんの家族が夜盗に襲われる前だけどね、
 みんなでご飯食べてると、一番美味しいところを、りんにくれるの」
「・・・?」
「そこが一番、滋養があるからって」
話が見えず戸惑う俺に、りんは続けた。
「兄ちゃんの方が身体も大きいしね、たくさん食べるのに、兄ちゃんもりんに分けてくれるの。
 おっとうもおっかあも、そうなの。
 おっとうもおっかあも、兄ちゃんの事も大事なんだよ。
 でも、一番身体の小さいりんに、滋養のあるところを分けてくれるの。
 『大きくならなきゃね』って言って」
なんとなく、りんの言いたいことが分かって、俺は頷いた。
「殺生丸さまのおっとうも、同じなんじゃないのかな・・・。
 殺生丸さまと同じくらい立派な妖怪なら、人間みたいな意地悪なんてしないと思うし・・・。
 生きてたら、殺生丸さまのことも犬夜叉さまのことも、両方大切にしてたと思うんだ」
りんは時々、幼子と思えないような表情をする。
姉上が、俺を見るような・・・優しいまなざし。
「殺生丸さまには形見の刀が無くても絶対に大丈夫だって分かってたから、
 殺生丸さまより体の弱い、半妖の犬夜叉さまに強い刀を残したんじゃないのかな・・・」
「そうか・・・」
「殺生丸さまもそれが分かってたから、犬夜叉さまにあの技を譲ったんじゃないのかな・・・?」
りんは前を行く殺生丸さまを見る。
揺るぎない信頼がその眼差しから伝わってくる。
りんはにっこり笑って、俺の方を向いた。
「だから、きっと大丈夫だと思うなあ」
りんの笑顔を見ていて、ひとつ疑問が消えていく。
「だから・・・」
「なに?」
「殺生丸さまが奈落の力を借りるなんて信じられなかったけど、
 あの時、殺生丸さまは最初から犬夜叉さまにあの技は譲られるつもりだったのか・・・」
「うん、殺生丸さま、優しいもん」

りんは天生牙の鞘をそっと触れた。
それは、幼い少女には似合わないくらい、大人びた仕草。

(・・・そうか、りんも救ってもらった一人だな)

退治屋の村にいた頃、妖怪に親子の情や感情なんてあるはずが無いと思っていた。
大ムカデや、化け蜘蛛の退治でそこまで分かるはずが無かった。
ましてや、弱い者を守ろうなんて気持ちがあろうとは思うはずもない。

だけど、俺たちの前を行く殺生丸さまは・・・。
 
物思いに捕らわれた俺の腕に、かくんっとりんの頭が何度か当たる。
阿吽の歩く振動が気持ちよくて、うたた寝してるんだろう。
俺はりんが眠りやすいように今にも落としそうな天生牙を持ってやろうと手を伸ばした。


・・・と、その瞬間。


するり、と天生牙が抜き取られる。
はっと顔を上げると、殺生丸さまがいた。

「あ・・・」
「・・・」

無言で踵を返し、殺生丸さまは天生牙を腰に差した。

「いくぞ」
「は・・・はい!」

天生牙を手にした殺生丸さまを見て、思わず泣きむせぶ邪見様をなだめながら、
俺は阿吽の手綱を引く。
腕の中には、くぅくぅと眠りこける、あどけないりん。

殺生丸さまには、俺たちの話が聞こえてたのかな。

だけど、きっと・・・。
りんの想いが伝わったんじゃないのかな。

なあ、りん・・・


俺は、苦笑した。


ご機嫌が直ったら、か。

直せるのはお前だけだなあ、りん。

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